顕微鏡歯科専門医の虫歯の治療は何が違うのか!?
医学は顕微鏡が発明されて飛躍的に進歩しました。
現在は実体顕微鏡を使って手術をするのは当たり前。
歯科はどうなのか!?
まだ肉眼なのか!?
ルーペ、顕微鏡を使っていても拡大下の手探り治療なのか!?

患者さんは20代女性で浦安市の妊婦健診でお見えになられ、無事出産を終えて虫歯治療を開始することになりました。

患歯は右上6で近心に虫歯があります。

当院では、患者さんには自分の口の中を知る権利と知る義務があると考えているので、保険でもお口の状態は顕微鏡で説明をします。
今回の患者さんも検診でお見えになった時に、お口の状態を説明し顕微鏡治療についても紹介しました。

患者さんは永久歯での虫歯の治療は今回が初めてになります。
患歯を拡大すると近心に虫歯があります。

歯と歯の間の虫歯は発見しにくいところで、レントゲン写真でも検出しにくいところです。

現在の虫歯治療の考え方はなるべく低侵襲な治療法、すなわちレジン修復を推奨しています。
確かにレジン修復はインレーなどの間接法に比べれば、健全歯質を削る量は少ないので低侵襲と言えます。
ほとんどの歯科医師から支持される内容だと思います。

しかしここから先の具体的な治療から多種多様な手法で虫歯の治療、レジン修復が行われます。
ある人は裸眼で虫歯治療。
ある人はラバーダム下で治療。
ある人は顕微鏡で「見ながら」治療。
ある人はルーペや顕微鏡などの拡大装置を使用していても拡大下の手探り治療。

さらに、レジンを多く盛って後から形態修正で削る人。
最初からジャストぴったりでなるべく形態修正をしない人。

さまざまです。

一口に低侵襲なレジン修復といっても、歯科医師の数だけレジン修復の種類があるのだと思います。
数あるレジン修復の種類の中の一つである、顕微鏡歯科医が日常的に行うレジン修復について紹介します。


私は可視下での治療にこだわります。
なぜならその方が確実性が上がるからです。
虫歯を削る時でも「見ながら」削ることに意味があると考えています。


歯と歯の間の虫歯治療で多く見られるのが隣の歯への誤切削です。
たとえ拡大装置を使っていたとしても、可視下での治療を軽視している歯医者であればここは手探り治療になってしまうから誤切削が多いのです。


隣接面から発生した虫歯は、完全に象牙質まで進行していました。
硬い層のエナメル質を突破した虫歯は、比較的柔らかい層の象牙質に到達すると広がる進行の早さは加速されます。
私がレジン修復の時に治療の最初からラバーダムをするのは、もし予想以上に虫歯が進行していて歯髄(歯の神経)が露出した場合、唾液に触れさせたくないからです。
レジンの接着操作の時も水分は排除した方が良いのでラバーダムは必要だと考えています。
ただ、歯の場所や虫歯の位置によってはラバーダムができない場所もあるのは事実です。
外国では何がなんでもラバーダムをする会があるそうで、工夫を凝らしてどんな場所にもラバーダムをするそうです。
ラバーダムをかけるだけで30分ほど費やすそうです。


隣接面の虫歯を除去した際には必ず隣の歯の誤切削がないかの確認と、齲蝕の確認をします。
今回も当然のことながら隣の歯に誤切削はないのですが、表面が白濁していて粗造になっています。


拡大して触診すると、完全な齲窩(虫歯の穴)になっています。
こういうケースは割と多いので、術前に患者さんにはお話をしてあります。
ラバーダムをかけていると会話ができないですからね。
事前の打ち合わせ通り、この歯も虫歯治療をしていくことになりました。


5の遠心の虫歯ももちろん「見ながら」削ります。
皆さんはそんなの当たり前だろ?!と思われるかもしれませんが、全く違います。
可視下での治療を日常的にしてないのであれば、考えられる方法は2つ。

1 ミラーで虫歯があるのを確認して、おおよその見当をつけて虫歯を削る。再びミラーで削り具合を見てもう少し削らなくてはいけないようなら、もう1度見当をつけて虫歯を削る。
これを繰り返す。
もしかしたら健全歯質も多く削られるかもしれないし虫歯の除去も甘くなるのかもしれません。

2 口を開けて正面から虫歯が見えるように、壁となっている健全歯質をごっそり削って虫歯を見やすくしてこれを除去する。

虫歯を取るといっても色々な手法があります。
私は可視下での治療にこだわっていますのでミラーテクニックが必要なのです。


一見大した虫歯ではなさそうですが、象牙質まで進行していました。
最近では軽度な虫歯であっても私達の想像以上に歯髄への細菌の侵入が多く見られるとの報告があります。


虫歯を除去した後はレジンを填入しますが、この時の充填法は surface tension control technique(サーフェステンションコントロールテクニック)です。
この方法は多くの歯科医師が無意識に行っていると思いますが、実はボンディングレジンから考慮しないと似て非なるものになってしまいます。


このような部位へのレジン充填は一発勝負的な要素が強いです。
何故なら充填時から過不足0のジャストぴったりを目指しているからです。
ここにもレジン修復の考え方の違いで異なる手法があります。
レジンを多く盛った後削って形態修正をする方法です。
場所によっては器具の挿入に制限がありますし、削るということは歯も削るわけだし、、、


ミラーを使えば色々な角度から豊隆を確認できますし、「見ながら」充填できます。


形態修正は一切しておらず、表層の未重合レジンを一層除去しただけです。


続いて6の充填です。
ここでのレジン充填法はrubber wedge method(ラバーウェッジメソッド)です。


歯と歯の間はお手入れしにくい不潔域なので、段差や隙間のあるレジンが充填してあるとそこが歯垢の溜まり場になってしまい、常に虫歯の再発の危険性に晒されてしまいます。
しかも前述のレジンを多く盛って後から削る方法だと、器具が入らないことが多いので適合の悪いレジン修復になってしまいがちです。
rubber wedge methodは現在存在する各種テクニックの中でも、ルーティーンで精度の良いレジン修復が行えるテクニックです。


この画像の中には適合精度を得るための様々な要点が含まれています。
患者さんにレジン修復の違いで、適合精度が良いということに価値があるんだと認めてもらうのは結構難しいことです。


術直後。
一番大事な隣接部の適合はたいへん良い状態です。
これならフロスが引っかかることもないし、歯垢の溜まり場になるような段差や隙間がないので虫歯再発予防ができるレジン修復になります。

低侵襲なレジン修復と言っても、それを行う歯科医師によってたくさんのレジン修復法があります。

貴方にとって何が大事なのか、担当する歯科医師のレジン修復法が貴方の希望する要点を重視している方法なのか、よく吟味する必要があると思います。

誰がやっても同じレジン修復というものはないのかもしれません。

治療期間 1日
治療費用 右上5番、6番レジン修復 81,000円 税別

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