たかが虫歯治療に顕微鏡なんて大げさだよと思われる人もいるかと思いますが、ここでは顕微鏡精密レジン充填についての特徴をご紹介します。

2015年7月10日の投稿を加筆修正

レジン充填の最大の利点はどのようなことだと思いますか?

それは『健康な歯質を最大限削らずに治療できる 』ことです。

歯の再生が臨床でできない現在 、健康な歯質を温存しておくことはとても大事なことです。

どんなにしっかりした治療でも永遠に保つことはありません。

どこかの場面で再治療をしなければいけない時が来るでしょう。

その時、健康な歯質が多く残っていれば治療の選択肢が増えます。

生涯自分の歯で過ごすには鍵となる要素ではないでしょうか。

しかし実際にはこのメリットを帳消しにして余りあるほどの残念なレジン充填がほとんどです。

レジン充填は歯科医師の技術の差が顕著にでる治療法です。 

私が日頃よく遭遇する残念なレジン充填とはどういうものなのかを列挙します。

・虫歯の取り残しがある。
・隣の歯を傷つけて(誤切削)隣の歯に虫歯ができている。
・適合が悪く、歯とレジンとの間に隙間ができていて歯垢が
 たくさん詰まっている。
・その隙間から虫歯が再発していることも多くある。
・レジンが虫歯を削った穴からはみ出ていて、そこに歯垢が
 たくさん溜まっている。
・その付近の歯肉が炎症を起こす。
・歯の根本のレジンを切削器具で形態修正をする時、確実に歯根を傷つけている(削っている)。

このような不確実な要素を最大限排除し、レジン充填のメリットを最大限生かす方法が顕微鏡治療によるレジン充填です。

では、顕微鏡治療でのレジン充填のどこがそんなにいいのでしょうか?

お口の中は私たち歯科医師にとっても暗くて見えにくい環境です。

しかも歯は小さいですし、隣の歯や唇・頬などの陰になって見えないところも沢山あります。

そのような時に一般的に行われることは『経験という名の手探り治療』です。

私が大学を卒業したての頃、 冠をかぶせるために歯を削る治療をしていました。
しかし奥歯の後ろの面がどうしても見えないので先輩の先生方に質問をしました。
『7番(奥歯)の遠心が見えないのですが、どうやって形成をするのですか?』
『心の目で見ろ!』
当時は素直に『そうなんだ!』と思い、自分も経験を積めば見える?ようになるんだと思っていたことをよく覚えています。 

こうして『見えない』という不確実さから、虫歯の取り残しや詰め物と歯の間に隙間などができてしまうのです。 

しかし、顕微鏡を使ってもそれを見ようと思わなければ見逃してしまいます。
何が大事なのか、なにが肝心なのかがわからないと、いくら顕微鏡を覗いても見えてきません。

見た目の綺麗さは大事な要素の一つですが、虫歯の再発を可能な限り低くすることの方が遥かに大事なことだと考えています。

歯磨きしにくく、歯垢が溜まりやすい場所は歯と歯の間です。

レジン充填の難しい場所も歯と歯の間の部分です。

ここに隙間や段差があるレジンが充填されていれば、ただでさえ掃除しにくいところを掃除が不可能にさえしてしまいます。

この部分を過不足なしにぴったりレジンを充填する方法は、顕微鏡治療以外に実現することは甚だ困難だと思います。

レジン治療は一発勝負の要素がかなりあり、後から余計なものを形態修正するよりもなにもさわらない方が色々な意味で良い結果につながります。
(表面の未重合層を除去したり咬合調整は必要ですよ。)

私が行ったレジン充填はすべて
『精密マイクロコンポジットレジン充填』
Surface tension control technique サーフェステンションコントロールテクニック
Rubber wedge method ラバーウェッジ法
です。
三橋純先生ご考案の治療法です。

今現在レジンをルーティーンで良好に充填する方法は上記の方法以外ないのではないでしょうか。

この方法であれば、形態修正はほぼいりません。(特に大事な部分には)

 私が歯科医療界に失望していた時、私も含めて、なんで歯医者ってろくな人間しかいないんだろうって思っていました。

言っていることとやっていることが違うし、うわべだけ良い先生に見えて患者さんのウケはいいが不適切な保険請求で成り立つ歯科医院。
でも、そんなことは患者さんはわからないので、綺麗な建物で、スタッフがたくさんいて、いつも患者さんで溢れていて、一見良心的に見える歯医者が世で言う『勝ち組』なんでしょう 

その当時、これが日本の一般的な歯医者だと認識していました。

この認識が、ただ、自分の勉強不足が原因で自分と同レベルの 歯医者としか出会うことができないんだということを痛感させられた人物が、歯科医師の小宮山彌太郎先生です。

講演などでお話しされていることと、ご自身の医院で行われていることにまったく違いがありません。
皆さんはこんな事当たり前だと思いますよね?

なにより、歯科医療に対して真摯に向き合っています。
正直、私は歯科医療に真摯に向き合っている歯医者に出会った事がありませんでした。
ただただ自分の無知を恥じるだけです。

小宮山先生は現在のインプラントを確立したブローネマルク先生の もとでインプラントを学ばれ、日本のインプラント治療の父とも言われている歯科医師です。

小宮山先生の言葉で印象に残っている言葉を箇条書きにします。

・ブローネマルクシステムは煮詰められた状態で世に出ているので、あまり変化がないシステムである。
 変化が多いシステムとは、煮詰められていない状態で世に出ているという事。
・術者(歯科医師)が楽な(便利な)システムが生体にとって良いというわけではない。
・メーカー主導ではいけない。
・本質を知る
・etc..

上記の理由から、小宮山先生は忠実にブローネマルクシステムのプロトコルを守っておられるのだと思います。
私が小宮山先生のお話しを聞いた当時は、世間のインプラント治療がどんどんブローネマルクのプロトコルを守らずに、術者の楽な方法へと向かう風潮を危惧されていました。

その後、私は自分の歯科医師人生を変えるほどの先生方と出会う事ができました。

そのうちの一人は三橋純先生です。

三橋先生が考案されたレジン充填処置
・Surface tension control technique
・Rubber wedge method
があります。

レジン充填はこの日本だけで1日何万本も行われている一般的な治療法です。
名称こそ同じ『レジン充填』ですが、似て非なるものです。

コンセプトが異なります。

私は日常の顕微鏡レジン修復処置において、三橋先生の方法は『煮詰められた』方法であると考えています。

幸運にも、オリジナルから直接色々お聞きする機会も多々あります。

私が行うべき事は、そのプロトコルを忠実に守る事なのだと思います。