最先端の研究にも女性は大いに活躍しています。
女性が活躍できる環境を整えるのは、男性も女性も他人に優しくできることが大事なんだと思います。
歯科医療も女性の力で支えられています。
今回のテーマは働く女性についてです。

2014年10月29日の投稿を加筆修正

iPS細胞の最先端を疾走中の3人の先生のお話しを聞きました。
高橋政代先生は世界で初めてiPS細胞を応用した加齢黄斑変性症の手術を行なった研究者で、ご存知の方も多いかと思います。

加齢性黄斑変性は現在血管新生を抑制する薬剤を注射する方法が一般的で、月一回の注射で17万円かかるそうです。
患者さんはこれからの医学の発展に貢献できるのならということで今回の手術に至りました。

今回非常に興味深く感じた内容は、最先端のiPS細胞のことはもちろんですが、別のお話しでした。

研究は一人の研究者が行なうのではなく、たくさんのスタッフと一緒にチームで研究しています。
iPS細胞の研究となれば国を挙げての研究ですので、たくさんのスタッフがいるそうです。
iPS細胞は一般の細胞と性質を異にしているようで、その培養にはかなり独特の知識と経験がいるそうです。

iPSには元気が悪いiPSと元気の良いiPS細胞がいて、培養を担当しているスタッフは目でみて識別するそうです。
細胞にも機嫌がいい時と悪い時があり、その見分けは機械では今のところ不可能で、まさに職人技で識別しているそうです。
このようなアナログ的な職人技がこの科学の最先端の研究を支えています。

私は結構この事実が驚きでした。
この重要な培養担当者の適性は素直で根気のある人らしいです。

高橋先生も山中教授もこの培養担当者の3人称は『彼女達』でした。
                              

高橋先生も山中教授もiPS細胞の担当者達を『彼女達』とおっしゃっていました。
(お二人は別々の研究室です)

この時のお話しは人材や適性などのお話しもしていましたが、この重要な分野に女性が活躍しています。

女性の人生のイベントとして一般的には結婚 ・出産があります。
もちろんそうでない生き方もあるのは存じております。

仕事をする女性は本当にたいへんです。
結婚・出産をして、元の職場に復帰できるような体制を整えたいものです。
せっかく身につけた特殊技能を封印してしまうのはもったいないですし、大袈裟かもしれませんが人類の損失です。

ここで問題になるのはお金という要素もあるのではないでしょうか。
これは特に男性、女性の区別はないのですが、研究施設は国からプロジェクトとして補助金がでますが、その名目によって数年単位の契約といものもあり、そのプロジェクトが終了したら職探しをしなければいけない現実があります。
最初は熱い情熱で研究をしますが、やはり職の安定性がないためせっかくの人材が研究から離れていくそうです。

働く女性をサポートする には、職場の理解と予算が必要なのではないでしょうか。
多数の人は理解してくれるとは思うのですが、マンパワーだけではどこかに歪みがでてきそうです。 

女性と仕事。
私もこの問題についてとても関心があります。
それは、とても身近にいる人が そうであったし、そうであるからです。

 

その身近な女性とは妻です。
 
母親になってから随分とブランクはありましたが、開業して一緒に働き始めて10年が経とうとしています。

現在までの道のりを一緒に歩んできた者として、『女性と仕事 』はとても関心があります。

ここからは全くの私個人の体験に基づくお話しなので、こういう考え方もあるんだねくらいに読んでください。

私は子供の頃鍵っ子でした。
学校から帰って誰もいない『し〜ん』としている家がとても嫌でした。
たまに母親が休みの時に家にいると何とも言えない嬉しさがあったのを今でも覚えています。 

大学卒業後すぐに結婚、子供を授かりました。
当時は大学院生でしたので実験さえ予定通りに進めば比較的時間は自由にとれました。
初めての子供がかわいくてかわいくて、実験はまとめてできるように調整し、少しでも息子といられる時間ができるようにしました。
朝、子供のかわいい寝顔を見ると、『う〜ん、今日はいいや(実験)、週末頑張る』 こんなのを繰り返して公園に行ったり、お花見に行ったり、動物園に行ったり、息子といられる時間がとても幸せに感じました。

子供の成長はあっというまです。
またあの頃の子供達に会いたいと、今でも思う時があります。
男の私でさえこんな風に思うのだから、生まれて間もない子供を保育園に預けて仕事に向かう女性は身を切られる思いなんでしょうね。

働く女性を応援したい一方で、こんな幸福な一瞬を仕事のためとはいえ減らしてしまうのはもったいないなと正直に思います。

よく、子供と一緒にいる時間の長さは関係ない、どれだけ深い愛情を注ぐかが大事なんですということも耳にします。
その通りだと思いますが、一見だらだらして無駄に見えるような時間というものが実はとても大事なことなんではないかなとも思うのです。

では、自分の歯科医院で働いてくれる女性に対してどういうことをしてあげられるのか。

これからの自分の課題です。

iPSからずいぶんと話題がそれましたね

ちなみに、私は大学院時代アルバイトをしながら生計を立てていました。
だから初めての給料はすぐに生活費になるので、まだ自分一人だけに給料をまるまる使ったことがありません
ちょっと自慢です
 

おもて歯科医院
歯学博士
日本顕微鏡歯科学会認定指導医
顕微鏡歯科ネットワークジャパン認定医
表 茂稔