今までは手探りの治療が当たり前だった。
いや、現在でも手探りの治療は主流であり、それに対して疑問さえ感じないくらい当たり前になっている。
それはルーペや顕微鏡を使っているという歯医者さえも。

先日第2回目のミラーテクニック道場が開催されました。

募集開始わずか2分で満席になったようです。
この道場は師範の三橋先生、師範代の成瀬先生、林先生、表で顕微鏡下でのミラーテクニックの特訓をする道場です。

私たちは大学教育でも日々の臨床でも、あまりにも見えないことが当たり前でそれに疑問すら抱かないし、それに対して教育機関でも特段問題視はしてきませんでした。
現在でもほぼスルーです。

しかし、実体顕微鏡が歯科の臨床に導入されてから極少数の歯科医師が「見ながら」治療することの重大さに気がつきました。

顕微鏡を使う歯医者でも、相変わらず見えないことに疑問を抱かない者も多数います。
ここで言う「見えない」は死角で見えないという意味です。

今回も前回同様に募集開始後数分で満席になった理由は、顕微鏡を導入しても見るための教育を受けていないため、見えないまま顕微鏡を使い、それに疑問を持つ歯科医師が確実に増えてきた証だと思います。

顕微鏡下で「見ながら」治療をする方法を教えられる先生があまりにも少ないのです。

セミナー受講に先立ち、全10回の通信教育を受講してもらい動画の課題を提出してもらいました。

私が担当した5人の受講生はとても熱心に取り組まれておりました。
セミナー当日に初めてお会いしたのですが、約2ヶ月に渡って動画のやり取りをしていたので初対面という気がしませんでした。

「見ながら」治療するための顕微鏡治療にはミラーテクニックは欠かせません。
どうしてこの方法が浸透しないかというと、練習しないとほぼできないからです。
一般の人が聞いたら笑われちゃいそうです。

別に特殊な能力や才能はほとんどいりません。
ただ練習をするのみです。

このセミナーはミラーテクニックの要点をきちんと文章にし、通信教育での動画やセミナーでの実習で具体的なポイントをお伝えできるので、自力でガムシャラに練習するより上達への近道になります。

ミラーテクニックのエッセンスは支台歯形成に多く含まれているので、道場での特訓は支台歯形成中心で行われました。

ミラーテクニックで壁にぶつかるのは下顎です。
受講生からたくさんの質問を受けますが、私は普段無意識にしていることを言葉で表すことが自分自身の勉強になりました。

それと、皆さんがつまづくポイントもだんだんわかってきました。

私が顕微鏡治療を始めた当初は、書籍や動画などがほとんどなく、現在のようにきめ細かいセミナーが開催されていることは羨ましく思います。

師範代の成瀬先生は現在三橋先生の歯科医院の勤務医で、林先生は卒業生で私だけが師範代の中で外様なわけです。
その頃手に入った三橋先生の断片的な動画を何回も繰り返し見て練習しました。
完コピを目指したわけです。

独自の工夫は決して否定しませんが、まずは完コピをお勧めします。

道場のスケジュールは最初に約2時間の三橋先生の講義を受けます。
ミラーテクニックがなぜ必要なのかを文章とイラストを使ってわかりやすく解説し、視座、視野、視点の関係性を説得力のある理論で展開しました。

見るために導入された顕微鏡なのですが、本当に「見ながら」治療をする大切さに気づいている歯科医師は少数です。

クラウンの形成の時に左手を添えないと形成の質が低くなるという歯医者がいます。
左手を添えられる時はもちろん添えればいいのですが、この人たちは歯のどこを削っているのかわからず、例えそれが盲目的であっても左手を添えないと形成の質が落ちるというのです。

皆さんはどう思われますか?
見えないところを左手添えたって意味があるのでしょうか。
私はそこが本当に理解できないのです。

インプラント窩の形成(インプラントを埋めるために骨に穴を開けること)は左手の意味はあると思います。

クラウンのようにバーの側面で歯質を削るときに、左手を添える重要度と、見ながら削る重要度を比べたときにどっちが優先されるべきなのでしょうか。
ミラーテクニックは確かに習得するのに歯科医師の努力が必要になります。

だから顕微鏡の導入を躊躇する歯医者がいるようです。
今まで通り見えなくても、顕微鏡を使って見える範囲だけでも拡大するメリットはあるので、それでいいじゃん、ミラーテクニックにこだわっていたら顕微鏡の普及の邪魔になるじゃん、と主張する先生たちがいるのですが、全く否定しません。

顕微鏡の使い方に正しい、悪いはありません。
でも私はできるなら、本当に見るための顕微鏡治療が普及して欲しいと思っています。

顕微鏡治療している歯科医師自身が、自分が見えてるのか見えてないのかを一番知っています。

でも患者さんはわかりません。
顕微鏡で治療している歯医者に、こんなに違いがあるなんてわかりません。

第3回目のミラーテクニック道場のお知らせです。
2019年3月7日木曜日 9時〜17時

申し込み開始 2018年12月26日

お申し込み デンタルアーツアカデミーホームページ

関連記事
顕微鏡ミラーテクニック道場

おもて歯科医院
歯学博士
日本顕微鏡歯科学会認定指導医
顕微鏡歯科ネットワークジャパン認定医
表 茂稔