なんで何度も虫歯になるんだろう?
こんな風に思っている人はいませんか。
歯磨きが不十分だったのかもしれないし、甘いものを多く摂りすぎだったのかもしれません。
もしかしたら以前やってもらった治療が不十分だったのかもしれません。
今回は以前虫歯の治療をしてもらった歯に虫歯ができてしまったため、顕微鏡でレジン修復を行ったお話です。

四街道からおみえの患者さんで、当院で顕微鏡治療を何度か経験しています。
患歯は左上の犬歯で、裏側から見ると虫歯ができていました。

以前他院で詰めてもらったレジンと歯の境界に虫歯ができた模様です。
詰め物が古くなったから虫歯になったのでしょうか。
それともお手入れが行き届いてなかったので虫歯になったのでしょうか。

ラバーダムを装着して再度裏側から見てみると、虫歯の穴は随分と歯肉に近いところまで進行しています。

レジン修復の適応症は、歯肉より上の治療が条件です。
歯肉に近いと滲出液がレジンの接着を阻害するからです。

まずは虫歯を取り除きます。
歯の裏側でもミラーテクニックであれば容易に「見ながら」虫歯の除去ができます。

「見ながら」治療するには常に適正な倍率とフォーカスがあっていなければいけませんが、当院の顕微鏡のCarl Zeiss社のOPMI PROergoであればフットスイッチで倍率とフォーカスが調整できるので、いちいち治療を中断しなくても正確な治療ができます。

カールツァイス社のプロエルゴは世界で使用されていますが、ジョイスティック型のフットコントローラーは日本でしか発売されていません。
これは三橋先生がカールツァイスを扱っている白水貿易に助言をして作られたものなのです。

虫歯を取っているときに、もっと拡大したいな、と思ったら治療をしながらフットコントローラーで調整ができるので、ストレスが随分と減りました。

もう1台の顕微鏡はCarl ZeissのOPMI pico MORAなのですが、これの変倍機構はドラム式なので、手でダイヤルを回さないと倍率とフォーカスが調整できません。
せっかく器具の位置付けを口の中でしたにも関わらず、これをキャンセルして顕微鏡の調整をしなければいけません。
これがどれだけストレスになっていたことか。

もちろん価格も2倍ほど違います。

私はプロエルゴを使い始めてから、またさらに技術が上がり治療の範囲が広がったと思います。
それくらい自分の顕微鏡治療のスタイルにプロエルゴはマッチしているんだと思っています。

自分で言うのは恥ずかしいことはわかっています笑

でも50歳間近の人間でも、自分の成長を感じさせてくれることってあまりないですよね?!
これなら残りの現役生活も全力でいけます。

過去の充填物は唇側にまで及び、それに伴い虫歯も中で広がっていました。

唇舌が貫通する形態の充填処置は手間がかかります。

虫歯が染まる染色液で染め出してみると、上にも横にも奥にも虫歯が残っています。

これを「見ながら」削ります。
おもて歯科医院ではこの「見ながら」治療することにこだわって治療をしています。
見ながら治療することで質の高い治療ができると信じているからです。

虫歯を取り除いたら充填処置になりますが、充填処置中の滲出液や血液は接着阻害因子になります。
今回は歯肉縁ギリギリのところなので滲出液のコントロールに苦慮するところです。

しかも精密に充填しなければいけません。
歯肉縁の部分はフリーハンドで立ち上がりを作り、その後マトリックスで唇舌に分けて充填します。

舌側のレジン充填

ミラーの角度を変えることで歯の豊隆を掴みやすくなり、適正な凹凸を付与できます。

唇側のレジン充填も同様にミラーを使い角度を変えながら多面的に歯の形を捉え、適切な形態を付与します。

レジン修復の完了
舌側

唇側

ちょっと血がにじんでいますが、これは治療後にウェジェッツを外したためで、治療中はもちろん出血させていません。

たった一本の虫歯の治療に1時間以上の時間をかけてここまで手間をかけたことのある人はいますか?

これで数年で虫歯の再発があれば、私は患者さんのお手入れについて改善を求めます。
もちろん治療中に記録した動画を見返して、私に落ち度がないかどうか、最善を尽くしたかどうかを確認したうえです。
記録は治療の最初から最後まで保存してあります。

もし私が記録を見返して、「あれ、ここの部分あやふやだな」と思ったら、全力でフォローアップします。

皆さんがどうしてこんなに虫歯を繰り返すんだろうと感じている歯に、これほどまで時間と労力と費用というコストをかけていますか。

というのは、私の主観なので今おかかりになっている歯医者さんとは見解が違うと思いますが、虫歯の再発のかなりの要素はその時の治療の質が悪かったためと”私は”そう考えています。

だから顕微鏡治療に取り組んでいるのです。

顕微鏡治療は難症例だけに使われるのではなく、ごく一般的な普通の虫歯の治療に使われてこそ意味があるのだと考えています。

たかが虫歯で、と甘くみた結果難治性の苦しみになってしまうのです。
これは歯医者と患者さんの認識の甘さから来ることが多いです。

保険治療というものは全員一律なので、より良い治療を求める患者さんにとっては物足りなさを感じたり、自分にあった治療をしてくれる歯科医院選びも、インターネットが普及しているとはいえなかなか難しいことだろうと思います。

検索で上位にくるのは、治療の内容というよりGoogleに詳しいかどうかですし。

私がこのように情報発信をしているのは、私の考え方や治療の仕方に賛同してくれる患者さんに届けたいためにおこなっています。

「人生、出会うべき人には必ず出会う。しかも、一瞬遅からず、早からず。
 しかし内に求める心なくば、眼前にその人ありといえども縁は生じず。」
教育者 森 信三

治療期間 1日
治療費用 顕微鏡レジン修復 65000円〜

おもて歯科医院
歯学博士
日本顕微鏡歯科学会認定指導医
顕微鏡歯科ネットワークジャパン認定医
表 茂稔