根管治療の隔壁はそのまま使えるのか?顕微鏡歯科の考え方を解説
(この記事は隔壁の接着を改変した記事です。)

•結論

根管治療の際に作製する隔壁は、適切な環境(ラバーダム下)で確実な接着操作が行われていれば、そのまま最終的なコアとして使用可能です。
逆に、接着の確実性が担保できない場合は、やり直しや外科的処置(歯冠長延長術)が必要になることもあります。

•根管治療における「隔壁」とは何か

隔壁とは、根管治療を行う際に

* 唾液や細菌の侵入を防ぐ
* 治療の精度を高める

ために歯に作る「壁」のことです。

この隔壁の質によって、根管治療の成功率は大きく左右されます。

•よくある疑問:隔壁はやり直すべきか?

臨床では

「隔壁は最終補綴の際にやり直すべきか?」

という議論があります。

その理由は

* ラバーダムが使用されていない
* 接着環境が不十分
* 唾液や湿気の影響

などにより、接着の信頼性に不安が残るケースがあるためです。
条件が悪い場合は外科的処置が必要になることもあります。

•当院の考え方(顕微鏡歯科)

当院では

* すべての隔壁をラバーダム下で作製
* 湿度管理を徹底
* 接着操作を厳密に実施

しています。

そのため、隔壁は

仮の処置ではなく、そのままコアとして使用できる精度で作製しています。

•症例:右上第二大臼歯の根管治療(50代女性)

術前の状態(頬側)

術前の頬側の虫歯の観察

術前の状態を観察

既存の修復物が装着されていましたが、

* 近心
* 遠心
* 頬側
* 口蓋側

にわたり、深い縁下う蝕(歯ぐきの下の虫歯)が認められました。
近医では虫歯が深すぎるので様子を見ると言われ当院に来院されました。

•虫歯の除去

修復物を除去すると、

各部位に大きな虫歯が確認されました。

この状態では

正確な根管治療も、長期的な予後も期待できません。

近心の虫歯

ラバーダム下で近心の虫歯を見ながら削っている様子

隣の歯を誤切削しないように見ながら虫歯を削る

遠心の虫歯

ラバーダム下で遠心の虫歯を見ながら削っている様子

手探りで削らずに見ながら削る

頬側の虫歯

ラバーダム下で頬側の虫歯を見ながら削っている様子

ミラーテクニックで見ながら虫歯を削る

口蓋側の虫歯

ラバーダム下で口蓋側の虫歯をミラーテクニックで削っている様子

虫歯の取り残しがないように見ながら削る

•ラバーダム下での隔壁作製

当院では接着阻害因子を徹底的に排除します

* 術前のプラーク除去
* 唾液の侵入防止
* 歯肉溝からの滲出液を遮断
* 呼気の影響遮断
* 湿度管理

のため、ラバーダムを使用しています。

さらに

* 圧排による視野確保
* 吸引による湿度コントロール

を行いながら、各面ごとに丁寧に隔壁を築造します。

近心の隔壁

ラバーダム下で近心に隔壁を設置している様子

最大限の接着

遠心の隔壁

ラバーダム下で遠心に隔壁を設置している様子

見ながら確実に接着

頬側の隔壁

ラバーダム下で頬側に隔壁を設置している様子

深い虫歯でも確実に接着

口蓋側の隔壁

ラバーダム下で口蓋側に隔壁を設置している様子

見ながら確実に接着

•技術的ポイント

特に奥歯の頬側は視認が難しい部位ですが、

* ミラーテクニック
* 顕微鏡による拡大視野

により、精度の高い処置が可能になります。

•隔壁完成

すべての面において確実な隔壁を形成することで、

根管治療に適した環境が整いました。

この状態であれば、後の補綴治療においても

そのままコアとして活用可能な接着状態が得られます。

根管治療

根管治療後の築造(隔壁をそのまま利用)

•なぜここまでこだわるのか

この工程は非常に地味ですが、

* 接着の質
* 治療の精度
* 長期予後

に直結する重要な処置です。

この部分を曖昧にすると、

* 再治療
* 破折
* 抜歯

につながるリスクが高まります。

•まとめ

根管治療の成功には

見えない部分の精度が重要です。

特に隔壁は

* 治療環境を整える
* 接着の基盤を作る

という意味で非常に重要な工程です。

当院では、顕微鏡歯科の視点から

長期的に歯を残すための精密な処置を重視しています。

•当院の顕微鏡歯科治療について

当院では、マイクロスコープを用いた精密な根管治療を行っています。

* 他院で抜歯と言われた歯
* 再治療が必要な歯

についても対応可能な場合があります。

詳しくは以下をご覧ください。
(顕微鏡歯科治療の解説ページへリンク)
隔壁の接着
根管治療
顕微鏡歯科治療とは

* 治療費
 根管治療費約25万円(クラウン除去、築造体除去、隔壁、根管充填まで)

おもて歯科医院
博士(歯学)
日本顕微鏡歯科学会認定指導医・常任理事
日本歯科大学臨床講師
表 茂稔