妻と私は学生時代から30年の付き合いになります。
私の人生の半分以上、ほとんど毎日一緒にいます。

そんな妻が9月上旬あたりに激しい腹痛に襲われました。

コロナ太りにもほどがあるんじゃないの、と笑っていたその最中の出来事でした。
今から考えると、まるで妊娠したような腹の出っ張り具合に笑っていた自分たちはなんて鈍感なんだろうと思います。

近医の内科を受診すると、卵巣がかなり大きくなっているので市内の大学病院を照会されました。

9月中旬に大学病院を受診すると、卵巣腫瘍境界悪性型の疑いが強いということで10月5日の手術を仮押さえ、その間にCT、MRIなどの検査にいらしてくださいとのことでした。

私達のような小さな開業歯科医院は吹けば飛んでいくような脆い経営基盤です。

急な展開で色々考えをまとめないといけないわけですが、まずは妻の病気をしっかり治療できるようにすることが第一優先です。

大学病院の執刀医は受診した時に診てもらった医師になるようでした。
年齢は30代中盤くらい。

手術は技術と知識です。

理論なき行為は野蛮であり、行為なき理論は空虚である。

常々私がこのブログでも記したように、外科系の治療は術者の技量にゆだねられるわけです。

でも困ったことに情報がほとんど無い。

ネットの口コミはあてにならないし。
なんとかランキングもあてにならないし。

病院が手術するのではなく、担当医がするわけです。
どこで手術するのが大事なわけではなく、誰に手術をしてもらうかが大事だと考えてました。

私のような開業歯科医師は、過当競争もあり他院との違いを誇示するためにブログで治療例などを出しています(自虐的)、医師はほとんど無いんです。

病院ごとの1年間の症例数などでていますが、誰が行ったのかはさっぱりわかりません。
私の側で日によって強い腹痛に襲われている妻を見て気は焦るばかりです。

近いから便利、というのは絶対自分にはあり得ませんでした。

知り合いや身内のMRをやっている人に色々と情報をもらって話しているときにふと思い出したんです。
そういえば勉強会でご一緒している先生のご主人が築地のがんセンターの元病院長をされていたことを。

早速連絡をしてみましたら婦人腫瘍科の先生を紹介してもらえました。
紹介してくれた先生方の姪御さんも去年この先生に手術してもらったとの事でした。

半分途方に暮れていた私は感謝の念で一杯でした。

同業者が身内の手術をお願いするわけですから、たまたま当たった担当医の運任せの手術より1000倍心強いです。

どんな手術にも必ずリスクがありますが、万一のことがあってもこの先生でそうなったら恨むことはしないと決めていました。

そういうわけで当院では9月と10月は急な休診日ができてしまい患者さんにはご迷惑をおかけしました。
この場を借りてお詫び申し上げます。

検査をすると、通常親指の頭くらいの大きさの卵巣は約20センチほどの大きさになっている事がわかりました。

もう既に子育ても終わっているという事で、左右の卵巣、子宮、大網、2〜3個のリンパ節の切除を予定し、術中迅速病理検査をしながらの手術予定です。

入院が10月12日、手術が13日と決定しました。

私がこの後できることは神頼みです。

氏神様の清瀧神社に事あるごとに参拝し御守りも用意しました。

手術当日、コロナ禍ですが手術日は特別に病棟待合室に待機できました。
万一のことがあったら連絡しますので、との事です。

予定時間は5〜6時間の手術です。

無事に終わることを終始願い続けていました。

病棟待合室から見える東京湾をぼんやり見つめながら。

執刀医から手術終了の連絡を受け、家族に手術内容の説明をしてくださいました。
手術は順調に行われ、リンパ節や子宮などに転移は目視上認められなかったとの事でした。
悪性度の度合いや転移などは病理検査を待たなければいけませんが、ひとまずホッとしました。
既に術後覚醒していると説明を受けましたが、そこから2時間ほど病室に戻ってきませんでした。
何が起きているのかわからない状態だったのでとても不安でしたが、どうやら悪寒がひどく体温をあげていたそうです。
その後発熱です。

でも病室に戻ってきて意識もはっきりしていて顔を見たらホッとしたのと、術後の経過が気になる心配が混在していました。

これから10〜14日間ほどの入院生活が始まるという事で、子供達から鬼滅のコミックを差し入れしてもっらっていました。

まー、妻のいない我が家は酷いもんです笑。
毎日仕事でも一緒なのでこんなに長い間離れているのも滅多にありません。

お見舞いは禁止されていましたのでスマホで連絡を取り合っていました。
今は便利ですねー。

手術翌日から歩行練習が始まりましたが血圧が低くめまいがするため次の日から始まるそうです。

鎮痛剤の効果で痛みはそれほど無いみたいですが、鬼滅を読んで笑うととても痛くなるそうです。

そこから順調に回復して10日後の22日に退院できました。
迎えに行ったその足で家族と一緒に清瀧神社にお礼と報告をしました。

さすがに退院後数日は職場復帰はできませんでしたが、徐々に普段通りになっていきました。

当たり前のような何気ない日常が突然壊れてしまう。

平凡な毎日ってありがたい事ですね。

当院は木曜日午後が休診なので12月24日木曜日に術後2ヶ月2回目の検診に行きました。
病理組織も予想通り境界悪性型、転移なしで術後経過は良好との事です。

クリスマスイブなんですよね。
ご飯でも食べて帰ろうとしてもどこもクリスマスメニューばかり。
関係のない私達にはちょっと迷惑笑
予約をしておいたほうが良いだろうという事で17時30分にGINZA SIXのビストロオザミを予約。
がんセンターを出たのが15時30分。
友人が以前連れて行ってくれた牡蠣を食べさせてくれるところががんセンターのすぐ近くだったのでそこで一杯。

GINZA SIXに移動しエノテカで一杯。

その後ビストロオザミで食事。

30年以上前、かつては恋人という時代もありましたが現在では25年ほど夫婦です。
作者は誰なのかわかりませんがこんな文章を見つけました。

恋人と夫婦の見分け方
不安と戦うのが「恋人」不満と戦うのが「夫婦」
ときめくをくれるのが「恋人」安心をくれるのが「夫婦」
責任がないのが「恋人」責任を伴うのが「夫婦」
夢を見るのが「恋人」現実を見るのが「夫婦」
他人なのが「恋人」家族なのが「夫婦」
情熱溢れるのが「恋人」愛情溢れるのが「夫婦」
相手に完璧を求めるのが「恋人」不完全を受け入れるのが「夫婦」
幸せ気分を味わうのが「恋人」幸せを作り出すのが「夫婦」
お互いに見つめあうのが「恋人」同じ方向を見るのが」夫婦」
自由な関係なのが「恋人」運命を供にするのが「夫婦」

今年は世界中の人々が新型コロナで苦しみました。

我が家はそれに加えて息子と妻に災いが降りかかりました。

とても疲れた1年でしたが、人生こんな時もあるよ。
と、前向きに考えていて来年のおもて歯科医院では新たな試みも考えております。