この記事の目次
- 1 歯周病治療
- 1.1 再生治療
- 1.1.1 エムドゲイン
- 1.1.2 ① 不良肉芽や炎症性物質を取り除き骨欠損内にエムドゲインを塗布します。
- 1.1.3 ② アメロジェニンが歯根表面にマトリックスの層を形成します。 フィブリンと赤血球による血液凝固(血餅)の形成。肉芽組織の置換。(再生のためのスペース)歯周組織、血液から間葉系細胞が誘導されます。 間葉系細胞から特異的なサイトカインと増殖因子(GF)が分泌され、再生に必要な細胞の増殖・分化を促します。 エムドゲインゲルによる上皮細胞の増殖抑制活性は、上皮の根尖方向への埋入を防ぎます。
- 1.1.4 ③ セメント芽細胞が誘導・分化し、セメントマトリックスが形成され、コラーゲンの太い束からなる歯根膜線維が伸張します。 新セメント層が厚みを増し無細胞セメント質を形成します。歯根膜線維が歯根表面に定着します。 新しい歯周組織が骨の欠損部分を埋めます。セメント質、歯根膜を形成します。
- 1.1.5 ④ 歯根表面と欠損部分に新しい歯槽骨が作られます。生物学的幅径(biological width)の相互作用より歯槽骨を形成。 骨芽細胞が活性化され欠損部を歯槽骨で満たします。 歯根膜・歯槽骨が再生(形成)し、新しい機能的付着が生まれます。
歯周病治療
多種類の細菌が歯周ポケットを形成し、細菌が放出する物質に自分の細胞が反応し細胞が歯を支えている骨を壊してしまう病気です。
決して加齢によって病気が発症するわけではなく、若くても歯周病になる人もいれば中高年でも健康な人がいる、いわば生活習慣病です。
歯周病の治療法は、
- プラークコントロール
- 徹底的な縁下歯石等の除去
- 食生活
です。
現在でも多くの歯科医師は見えない歯石を手指感覚で盲目的に除去しています。
研究報告でも歯石の取り残しは思ったより多いことが知られています。
顕微鏡では「見ながら除去する」ことが可能なので歯石の取り残しは圧倒的に少ないのです。
このことは歯周病の治り具合にも大きく影響します。
しかし歯科医師が徹底的な歯石除去をするのは歯周病治療の一部にすぎません。
プラークコントロールと食生活は患者さん自身が行わなくてはいけないので、患者さんと歯科医師の二人三脚で歯周病治療に取り組むことがとても大事なことです。
顕微鏡は患者さんの歯周病を治したいというモチベーションを常に高く持ち続けてもらうにはとても役に立ちます。
鏡や絵で説明をしても実感は湧きにくいものですが、実際のご自身の歯周病の状況や治っていく過程を見ることで、患者さんのやる気を奮い立たせます。
再生治療
しかし厳密には“再生”しているわけではありません。
健康な歯周組織では歯根ーセメント質ー歯根膜ー骨の位置関係ですが、骨の細胞と歯肉の細胞では増殖スピードが違うため、骨ができるまでに歯根と骨の間に歯肉が入り込んでしまうのです。歯根ー歯肉ー骨の位置関係になってしまい、歯周病の再発に弱くなる可能性があります。
もっと正確に説明をするのであれば、歯根の表面のセメント質が再生できるかどうかが重要なのです。
このセメント質が歯根膜や骨を形成します。
この再生を歯肉の増殖が邪魔をしないような薬剤が、世界的に信頼性のあるエムドゲインによる再生療法なのです。
エムドゲインにより「歯根ーセメント質ー歯根膜ー骨」の位置関係を再構築します。