根管治療に使う道具にファイルという非常に細い器具があります。
汚れた根管をきれいに掃除をするための道具です。
この器具の性質上、どうしても器具破折の危険は免れません。
今回は私が根管治療している途中で、ファイルの破折をおこしてしまい、その破折したファイルの除去について紹介します。

根管治療は汚染された歯の内部をきれいにする治療法です。
歯内療法とも呼ばれています。
歯の内部を綺麗にする方法には、機械的な方法と化学的な方法があります。
機械的な方法にファイルというものが使われています。

ファイルの側面はヤスリのようになっていて、この部分を使って根管内の汚れた根管壁を綺麗にします。

松風(株)カタログより

ファイルの径は、テーパーが付いているので場所により異なりますが、0.08mm~0.40mm位のものを使用することが多いです。
髪の毛の太さが約0.1mmなので細いファイルとだいたい同じくらいですね。

根管は皆さんが想像するより非常に複雑で、大袈裟に言うと曲がりくねったり、障害物があったり、途中で塞がりかけたり、枝分かれしてたりと、小さな空間のことなのですが、私達には宇宙空間と錯覚するくらい広大で複雑に感じます。

ちょっと大袈裟すぎましたね。

細いファイルで探りをいれて、徐々にその径を太いものにして根管の清掃をするのですが、折れることがたまにあるんです。

新品だろうが気をつけようがファイル破折は避けられないようです。
頻度として2~4%くらいと言われています。

根管治療の目的は感染の除去ですので、破折したファイルが感染源でなければ特に除去する必要は無いと考えられています。

ただ、破折ファイルが根管内の途中に留置され、それが邪魔でその先が掃除できなければ是非除去したいものです。
ですが、ファイルを除去するために、歯に致命的なダメージを負わせてしまっては本末転倒です。

なるべく歯にダメージを負わせずに破折したファイルを取れないものなのか。

現代の歯科治療ならできるんです。
顕微鏡と適切な道具があれば可能です。

もちろん道具があるだけではだめで、それなりの知識と技術は必要になります。

破折したファイルの頭が見えるかどうかで、除去の難易度が大きく変わります。

破折を起こすのは根の湾曲している部分が多いようです。
今回は私が根管治療中にファイルを破折させてしまったので、この根管の湾曲具合だとか感触はまあまあ把握できていました。
なので、特にレントゲンも撮影しませんでした。

破折ファイルを除去するにはその下準備が大切で、主に湾曲部の内湾側を形成します。

顕微鏡のなかった時代はどうしていたのでしょうか。

私自身は、あまりにも歯の負担が大きくなるので、除去することを諦めることが多かったです。

形成がきちんとできると、根管壁に食い込んでいた破折ファイルが緩み、グラグラと揺れてまるでダンスをしているように見えます。

EDTAを根管内に満たして超音波チップを挿入すると、破折したファイルが飛び出してきます。

無事破折ファイルを除去することができました。

根管治療において、ファイルは無くてはならないものです。

最近では破折しにくいNi-Tiファイルもでてきていますが、破折ゼロにすることはいまのころ不可能です。

ファイルを破折させたことがない歯科医師は矯正医くらいしかいないのかもしれません。

もしファイルが破折してしまったら、きちんと患者さんに説明しなければいけませんね。

根管治療前に破折の危険性・対処法もまえもって説明することも大切です。