歯を削る・抜く、痛みを感じなくするための麻酔なのに、その肝心な麻酔が痛くて怖いと感じる患者さんは意外と多い。
歯科医師は技術の世界。
コンビニより多いと揶揄されていますが、歯科医院の技術力は千差万別。
どこでも一緒なわけではありません。

皆さんが歯の治療に対して持つイメージに「痛い」「怖い」と感じている人はとても多いと思います。

歯を削ったり抜いたりするための、痛みを感じさせないための麻酔なのに、その肝心な麻酔が痛くて怖がる患者さんが結構多いです。
以前当ブログでも紹介したタイの久米先生のブログを再掲します。外国から見た日本の保険治療

 『一方、1日30人ということは、10時間働いても、1時間あたり3人です。一人あたり20分です。1日10時間以上働くのも簡単ではありません。歯科衛生士さんが夜帰れないような時間になってしまいます。日本では1回20分歯医者に担当してもらうのが上限でしょう。これ以上はどこかに無理があります。歯医者がお金持ちだった時代、歯医者は一日に100人とか200人診療していたそうです。300人という人も聞いたことがあります。100人だと1時間10人。1人あたり6分。200人だと3分。300人だと2分!2分3分で何ができたというんでしょう? 企業は1年に1回の検診が義務付けられているので、このアルバイトをしたことがありました。

 全部の歯をみて記録するだけでしたが、8時間で200人でした。見て記録するだけで1人あたり2分24秒です。どんな治療だったか想像すらつきません。麻酔は本当にないとどうしようもないときだけに限られていたでしょう。少々の痛みは我慢を強いられたと思います。その麻酔も一気にうつので痛い注射だったと思います。

 こんな極限状態の中で、治療を怖がる子供にたいして、その気持ちや恐怖心を思いやって治療にあたるなんてことはとても望めなかったと思います。そして日本国民の深層心理に「歯医者は怖い!歯科治療は痛い!」という印象を植え付けてしまったんじゃないでしょうか。患者さんの気持ちを思いやる心優しい歯医者なんてドラマなんかでもまったくみかけません。患者さんの歯の健康を願い祈るような気持ちで治療にあたっている歯医者なんてイメージに合わないのはこの時代のせいだと思うのですが。でもこのイメージにあわない姿が本当は真に望まれる医者の姿のはずです。医療費のことを心配せずに病院にかかれるという素晴らしい社会を目指して作られた制度だったのでしょうが、反面上記のような暗い面ももたらしたと思います。』

今でも患者さんを何人も同時進行で治療されている歯医者も多いと思います。

当院では基本的に歯科医師が複数の患者さんを同時に診察することはありません。
その前提として、患者さんと歯科医師双方が時間を守ることが重要です。
無断キャンセルや当日キャンセルをされると、当院の治療スタイルをつらぬくことができません。
予約の時間をあなたのためだけに使うおもて歯科医院の麻酔にまつわるエピソードを紹介します。
歯科医師「これから麻酔をしますね」
患者さん「はい」
〜治療終了後受付で〜
患者さん「今日は全然痛くなかったのですが、麻酔をしなかったんですね」
受付「しましたよ笑」

別の患者さん
歯科医師「これから麻酔をしますね」
患者さん「はい」
〜麻酔後〜
患者さん「最近の麻酔は針がついてないんですね」
歯科医師「ついてますよ笑。ず〜っと前からある針となんら変わりはありませんよ笑」

さらに別の患者さん
患者さん「新しい麻酔は全然いたくないねー。昔の麻酔は痛くてさー」
歯科医師「ず〜っと前からある針となんら変わりはありませんよ笑」

という会話を何百人と交わしました。

これはおもて歯科医院に通院される患者さんが、きちんと約束の時間を守ってくれるので、私達の心のゆとりもあるため痛みの無い麻酔ができるのです。

歯の治療は削る、歯を抜く、神経をとるなどの外科処置が多いので確実な麻酔が必要になる場面がとても多いです。

そのたびに痛い麻酔をされると憂鬱になりますよね?!

麻酔が痛くなく確実に効かす事ができたら、たとえ親知らずを抜くときでさえも寝ている患者さんは当院では結構います。

随分前に前歯を抜いた箇所をブリッジにする予定なのですが、歯肉のボリュームがすくないのと、ポンティック形態を改良型のオベイトにするため、口蓋から結合組織を採取して前歯部に移植する治療を行いました。

この提案は患者さんの経験した歯医者では紹介されたこともなかったのですが、熟慮の末に治療を行うことを決断しました。





見るからに痛そうですよね。

患者さんの1週間後の言葉。
「本当に手術をしたのかと思うくらい痛みも腫れもないんです!」

今度は歯冠長延長術。
一番奥の奥歯は背丈が低いことが多いです。
背丈が低い歯にクラウンを装着すると脱離しやすいのです。
帽子を浅くかぶると脱げやすく、深くかぶると脱げにくいですよね。

脱離するクラウンは最悪です。

だから歯の背丈を高くする必要があります。
歯肉の中に埋まっている歯を露出するために、歯肉を下げるのです。

この治療法も患者さんが経験したことのある歯医者さんでは提案されたことがなかったので初耳です。

私達はなるべく客観的な情報を患者さんにお伝えして、判断は患者さんにおまかせしています。
決して強要することはありません。

熟慮の結果歯冠長延長術を行いました。

1週間後。
患者さん「初めてだったので心配でしたが、全く痛くなかったです」
初めての経験だったので少し不安なようでしたが、全く痛くなかったので、嬉しい拍子抜けのようでした。

このように患者さんに喜ばれる治療ができるのは、おもて歯科医院が顕微鏡を使いこなせることと、患者さんが当院の治療方針に協力してくれる賜物だと考えています。

歯科治療は痛くて怖いものだという固定観念を、私達は打破できるように頑張っていきます!

おもて歯科医院
歯学博士
日本顕微鏡歯科学会認定指導医
顕微鏡歯科ネットワークジャパン認定医
表 茂稔