緊急事態宣言が発令されて10日ほど経過しました。
多くの日本人が新型コロナウィルスの蔓延を防ぐために外出を自粛し、企業や個人事業主も自主的に休業するところがあります。

みんながこの大変な時に、できるだけのことをしようとしています。

政府に対する様々な声が聞こえてきますが、日本に生まれて日本人で日本に住んでいてしみじみ良かったなと感じる今日この頃です。

先日朝の情報番組で、『感染リスクナンバー1は「歯医者」だって知ってた?』という特集をしていたらしいです。

私達歯科医師は観血処置も多く、歯を切削する時に発生する飛沫やエアロゾルに晒され、患者さんから歯科医療従事者が感染症をもらう機会が多いのかもしれません。


画像:東京歯科技研より

さらにこの番組によると、歯科衛生士の情報では院長からグローブの使い回しの指示が出たそうです。

さらにさらに、アメリカの歯科医師は日本の歯科医院が診療していることにショックを受けたそうです。

日本の歯医者は本当にダメ人間がこの職業に就いているかのようです。

私の周囲の歯科医師やフェイスブック上でコメントする歯科医師は、スタッフのことを考えゴールデンウィーク明けまで休診をしているところも結構多いですし、グローブや消毒用エタノールなど衛生用品が無くなれば休診するという歯科医師ばかりで、グローブを使い回しましょうという歯医者は誰もいません。

この情報は本当なんですか?
この歯科衛生士は本物なの?

当院は今のところ衛生用品は十分にあり、現在スタッフはいません。
夫婦で行っています。

以下の事を実施しながら診療を行っています。

コロナウィルス対策として患者さんの人数を制限しています。

・発熱やのどの痛み、せき、倦怠感などの症状がある方はお申し出下さい。

・当院では複数の患者さんを同時進行で診察しません。

・来院時受付にて手指のアルコール消毒をしていただきます。

・患者さんごとに消毒をし、診療室の換気を充分行ってから次の患者さんの治療を始めます。

・治療前にポピドンヨードで含嗽してもらいます。

・院内ではご自身の指を口の中に入れないようお願いいたします。

・エアロゾル対策として口腔内、口腔外バキュームを使用しています。

口腔外バキュームは、飛沫やエアロゾルを吸い取る機械です。

画像:東京歯科技研より

この番組は底辺の歯医者を取り上げて歯科医師がみんなこのような歯医者だという印象を与えましたが、みんなが苦境の時にどうやって感染対策をするのかアイデアを出し合っている歯科医師もいます。

画像は飛沫やエアロゾル対策で考え出されたものです。

このアイデアは神奈川でご開業の内田宣孝先生、アレンジは世田谷区の三橋純先生です。
ホルンドレープと命名されました。

通常の歯科治療

番組の歯科衛生士のようにただ嘆くだけで愚痴をいうのではなく、この困難をどう克服するのかを考えるのが歯科医療従事者だと思います。

このアイデアは顕微鏡治療にしかできませんが、それ以外をお使いになる先生も色々アイデアを出し合っているようです。

決してこれで安全ですからどうぞ安心して受診して下さいとは言うつもりはありません。

歯科医師が様々な感染症を患者さんからもらうリスクが高いことは自分たちも十分認識しています。

ただ不思議な事に今回の新型コロナウィルスを例にとると、これだけ歯科医院は感染ハイリスクだと言われても、まだクラスターになった報告がありません。

季節性のインフルエンザも、毎年歯科診療が原因だと言われたことはありません(たぶん)。

そもそも歯科医師自身が新型コロナウィルスに特別多人数感染したという報道は聞きません。

これからが本番の可能性ももちろんあります。

当院は元々多人数を同時に診察するスタイルではないので、患者さん同士の接触はかなり少ないです。

ある一般の人が、滅菌レベルの高い歯科大病院でコロナ患者が見つかったのに滅菌レベルの低い個人開業歯科医は危険という、見当違いの思い込みの人も浦安のチャットで見かけました。
滅菌レベルは開業医でも十分です。

密集、密閉、密接の3密回避ができないからじゃないかな?

その点個人事業主の開業歯科医は小回りがきくので、患者さん同士が重ならないようにアポイント調整はできるはずです。

ホルンドレープと口腔外バキュームを組み合わせれば飛沫やエアロゾルの拡散はかなり防げるのではないでしょうか。

これは受診を促しているのではなく、現在来院中の患者さんが少しでも安心できるように情報発信をしています。

でも不思議ですよね。

欧米より早く新型コロナウィルスが問題になり、日本からの渡航者を制限するとか言ってたのに、今や欧米が凄いことになっています。

感染者数も死亡者も日本とは比較にならないほどです。

なにが幸いしているのでしょうか。

もしどうしても歯科治療を受けなければいけない患者さんがいらしたら、できるだけ安心できるような取り組みをしていきたいとおもいます。

追伸

と言ってるそばから三重県の歯科医院で新型コロナウィルス感染者がでました。
歯科医療従事者として慚愧に堪えません。

4月16日に緊急事態宣言を全国に拡大しました。

今後の動向に注意して歯科診療自粛を検討しなければいけません。

参考

おもて歯科医院
歯学博士
日本顕微鏡歯科学会認定指導医
顕微鏡歯科ネットワークジャパン認定医
表 茂稔