前回の治療に続いて、今回は形成と印象です。

右上4はこのタイミングでレジン修復をし、5を形成・印象しました。

今回のテーマである形成と印象は、かれこれもう15年ほどこのやり方を続けています。

理由は適合の良いクラウンを作製するためです。

良い材料を使うだけで自動的に適合が良くなるわけではありません。
適合の良い補綴物の製作を目指すため、歯科技工士との連携は欠かせません。
当院がオーラルスキャナによるデジタル印象を行っていないのは、現段階では今得られている適合精度と同等の適合精度が得られないためです。
まだデジタル印象には課題が多いとの判断です。

いずれは課題も解消されてデジタルが主流になるのでしょう。

顕微鏡を使っている歯医者は増えてきましたが、決して目指すものが同じなのではありません。
色々な考えがあります。

肉眼やルーペを使っている歯医者は、私が行っていることに対してそんなことに意味ないと思う人も多いことでしょう。
顕微鏡を使っている歯医者でさえそんなことに意味があるの?と聞かれたことがあります。

だからミラーテクニックができないままなんだと思います。

愚者は経験に学び賢者は歴史に学ぶ

医科では1960年代から手術用顕微鏡が導入され、現在では脳外科、眼科、整形外科などの手術では肉眼治療は許されないことだと聞いております。
特に脳外科では死角の解決法として硬性内視鏡を同時に使用するハイブリッド法を行います。
医科の歴史を見れば歯科の進むべき道は自ずとわかることだと思います。

歯科では死角に対して無頓着であまり気にする歯医者はいません。
だからそんなことに意味があるの?となるわけです。

この両者の違いに果たして予後に有意差があるのか。
それは誰にもわからない。
ただ歯科治療の原理・原則を考えれば、やらない理由を探すよりやればいいのに、と思います。

かかるコストは自分の努力だけ。
努力というコストを惜しむのか、必要だから費やすのか。
顕微鏡歯科治療という言葉で一括りにできない理由はここにあります。

次回はクラウンの装着についてです。
これもその世界を見たものでないとなかなか伝わらないのかもしれません。