保険治療と自由診療ではどのように違うのか。
患者さんは当然疑問に思います。
今回はおもて歯科医院の自由診療顕微鏡レジン修復治療と保険治療の違いについて徹底解説します。

一般的な歯医者での自費診療とは、「材料」が保険用か保険用ではない、の違いです。
それ以外ではインプラント、矯正、審美治療が自費診療です。

この写真の患者さんは、お住いの近くの歯医者で虫歯をレジン修復で治療しました。
「保険で白い歯にしてもらいました」とおっしゃっていました。

どの写真の歯も、歯と歯に隣接する部分にレジンが充填されています。
その部位は段差や隙間があり、歯垢(プラーク:バイキンの集合体)が多量に付着しています。
歯と歯の隣接する部分のレジン修復を2級レジンと私たちは呼んでいます。

歯と歯の間は不潔域です。
治療したレジンがバイキンの増殖場所となって不潔さを助長させてはいけません。
新たな虫歯の種を蒔くことになってしまうからです。

しかし、私が見てきた多くの患者さんの口の中にあるレジン修復は、この写真のようなものばかりです。

では、おもて歯科医院の自由診療での顕微鏡精密レジン修復はどのようなものなのでしょうか。

動画をご覧ください。

私が一番重要視しているのは、歯が生涯健康でいられるように治療することです。

レジン修復なら、不潔域で充填したレジンが清掃の邪魔にならないように精密に修復治療を行うようにしています。

使用しているレジンは物性的には保険用のレジンとほぼ変わりはありません。
保険用のレジンでも十分性能は高いです。

では何が違うのか。

一口で言えば技術です。

自由診療顕微鏡レジン修復の各ステップを細かく説明いたします。

まず前提条件として、必ず顕微鏡で治療します。

ラバーダム

当院のレジン修復は必ずラバーダムを装着します。

レジンのような接着修復は水分は大敵です。
呼気は湿度100%です。

鏡に息を吹きかけてみてください。

曇りますね。

接着面に呼気が吹き付けられれば、濡れます。
水分が付けば接着不良を起こします。
接着不良を起こせば歯質とレジンの間に隙間ができます。
この隙間がばい菌の侵入経路となり、虫歯が再発します。

このような理由で、口の中の湿度の対してラバーダムを装着します。
もちろん唾液対策にも。

ラバーダムがどうしても装着できない場合は、ZOOやオーラルガードという吸引機を使用します。
メーカーのデータではラバーダムと同等の湿度管理ができるそうです。

歯の周囲の青色のシートがラバーダムです。

虫歯除去

おもて歯科医院の顕微鏡治療では、虫歯の除去は必ず拡大化で「見ながら」除去します。
決して盲目的な手探り治療はいたしません。

そのためにはミラーテクニックが必須です。

口腔内は死角がたくさん。

ミラーテクニックが使えなければ、ほぼ盲目的に治療せざるを得ません。
顕微鏡を使っていてもです。

虫歯の取り残しや健康歯質の過剰切削を避けるためにミラーテクニックはとても大事です。

隣の歯の誤切削も絶対に避けなければいけません。
何故なら虫歯になる可能性が約3倍高くなるからです。

隣接面の虫歯は非常に発見しずらい部位です。
レントゲンで撮影しても写らないことが多いです。

皆さんの中で、定期検診に長い期間通っていたにもかかわらず、突然「大きな虫歯があります」と言われた経験がある人もいるのではないでしょうか。
大抵隣接面の虫歯が見落とされています。

隣接面の初期う蝕は非常にコントロールしにくいので、早めの治療介入も決して悪い方法ではないのではないかと、個人的には考えています。

患者さんの虫歯は中の層の象牙質まで達していて、記号でいうとC2です。

う蝕検知液、歯の硬さなどを参考に虫歯を徹底除去します。

虫歯の除去基準も歯科医師によって異なります。

Ricucciの報告だと、初期虫歯でさえ相当数の細菌が歯の内部に侵入し歯髄反応を起こさせているそうです。
その生態反応と虫歯の除去基準は今の所どうすれば良いのかは誰にもわかりません。

隔壁・充填

2級レジンは隔壁がどれだけ歯に適合させられるのかが鍵になります。

隔壁さえしっかりと適合させられれば、あとはレジンを填入するだけです。

写真中の矢印部分が2級レジンの命です。

レジンの填入はフローの良いレジンを使用し、隣在歯との接触点直上まで充填します。

辺縁隆線・咬合面はペースト状のレジンを使用します。
理由は耐久性と辺縁隆線の形態を作りやすいので使用しています。

チェック

充填が終了したら隣接面の適合状態をチェックし、フロスを通して隣在歯との接触圧を確認します。

これらの一つ一つのステップを着実に実施する過程がおもて歯科医院の自由診療顕微鏡レジン修復です。

一番最初の患者さんの治療法も「レジン修復」という名の治療法です。
このようなレジン修復では、却ってその歯の将来は良くないものと考えています。
再治療の際に次の一手がない状態になってしまいそうな治療だと考えています。
保険診療ならまだインレーの方が良いと考えています。

今回の顕微鏡レジン修復を行った患者さんが、1年後隣のインレーが脱離し来院されました。

治療したレジン修復の適合精度の高さがよくわかります。

器具で触れている部分がどれだけ段差のないものにできるのかに価値があります。

隣接部は不潔域なので、フロスを通して楽にプラークが取れるようなレジンに価値があるものと考えています。

ただ単に白いだけの不適合なレジンには価値を感じていません。

もし、虫歯になってしまったことを後悔し、治療した後はきちんとお手入れをするのでもう1度チャンスが欲しい、と考えている患者さんには自由診療で行う顕微鏡レジン修復をお勧めします。

保険であればインレーをお勧めします。
当院では2級のレジン修復は前歯以外は行っていません(一般的な歯医者と同じ方法)。

私の顕微鏡レジン修復はルーティーンでこのような方法を行っています。

ブログで色々な症例を載せているのは、決してチャンピオン症例ではなく、いつも日常的におこなっている症例です。

これが顕微鏡歯科専門医の治療法なのだと皆さんに知ってもらいたいためです。

顕微鏡レジン修復
治療回数 1回 約1時間
治療費  53,000円 ~ 69,000円 税別

おもて歯科医院
歯学博士
日本顕微鏡歯科学会認定指導医
顕微鏡歯科ネットワークジャパン認定医
表 茂稔