2019
2/18
顕微鏡ミラーテクニック道場フォローアップセミナー
- 2019.02.18
- ブログ歯記
- ミラーテクニック・ 顕微鏡歯科治療(マイクロスコープ)
顕微鏡ミラーテクニック道場を受講された先生向けにフォローアップセミナーを行いました。 このセミナーの目的は、本当の意味で”見る”ための顕微鏡治療をおこなうために必要なミラーテクニックの習得です。
2月7日に日本各地から顕微鏡ミラーテクニック道場フォローアップセミナーを受講してくださいました。
みなさんかなり上達していて嬉しい限りです。
道場ということもあり、朝から晩までぶっ通しのセミナーでした。
顕微鏡を所有している歯医者は多数に上りますが、その使用方法は多種多様です。
現在顕微鏡歯科治療は混沌としてしていて、基準というものが存在しません。
顕微鏡の使い方に善悪はないと考えていますが、別の視点から考えると、基準がないと患者さんの不利益につながるのではと最近強く思うようになりました。
私達歯科医師が口の中を覗いたとき、十分な照明があるとして、多くの歯を見ることができません。
言いかえれば見えないところがたくさんあります。
それは小さいから見えないという要素もありますし、死角になって見えないという要素もあります。
単純に顕微鏡を使えば小さなものは拡大されるので見ることは可能ですが、死角に対しては全く効果がありません。
いくら拡大しても死角を見ることは不可能なのです。
この死角こそが、歯科治療の不確定要素と言っても過言ではありません。
考えてみれば当たり前のことです。
口腔は頬と唇に囲まれ、前方の僅かな開口部からしか口の中は覗けません。
さらに口の中には舌や隣接する歯の陰になる部分がたくさん存在します。
そこを手探りで治療するんですよ!? かなりの不確定要素と思いませんか!?
この死角に対する対処方法がミラーテクニックなのです。
口の中に小さなミラーを入れることで死角になっている部分を見ることができます。
見えないまま治療することを盲目下、ブラインド、手探りでの治療といいます。
さらに言葉の定義も混沌としています。
ミラーを使わないで歯を見ることを「直視」という言葉を使う歯医者がいます。
その人達は対義語として「鏡視」という言葉を使います。
ミラーテクニックのことです。
そもそも「直視」の対義語は「盲目的な」とか要は「見えない」ということです。
医科では内視鏡下で術部を見ながら手術することを「直視下」で手術するといいます。
「直視」という言葉を使っている歯医者は、開いてそのまま見ることを「直視」だと勘違いして、その使い方が浸透してきています。
現在歯科で使っている「直視」という使い方は早めに修正したほうが良いと考えています。
ミラーテクニックでも、術部を見ながら治療することは「直視下」なのです。
それにまつわることで印象に残ることを書いた歯医者がいました。
どうやらその人の親族に眼科医がいるのですが、眼科ではミラーテクニックを使わないそうなのです。
その歯医者が言うには、
「医科は直視が常識です。もし少しでも器具操作を誤れば失明してしまうかもしれないのに、ミラーテクニックで治療するなんて考えられないと眼科医が言っていました。」そうです。
私は眼科について全く無知ですが、たぶん、顕微鏡を直接覗けば見えるのではないでしょうか。
手術する目の部位と顕微鏡の間に障害物がなければミラーなんて使う理由は何もありません。
さらにその歯医者さんたちが主張しているのは、
「脳外科を見てご覧なさい。ミラーテクニックで手術している医師は一人もいない。命に関わる大事な手術でミラーテクニックなんてありえない。」と。
う〜〜ん
それってミラーを使わなくても見れるということですよね?
そうでなければ、失明や命に関わる手術を盲目下で行うことになります。
私は眼科や脳外科については全くの無知ですが、盲目下(手探り)で手術をすることはないことだけは確かだと思っています。
口腔はいわば入り口が狭い壺のようなものです。
その壺の中に舌や28本の歯が並んでいます。
壺の入り口から覗いて歯の裏がみえますか?
いくら機動性のよい顕微鏡を使ったとしても、壺の中に顕微鏡を入れない限り歯の裏側は見えません。
物理的に不可能です。
だからミラーテクニックが必要なのです。
歯医者さんは今まで自分がたどってきた道のりにプライドもあるし、ミラーテクニックを必要と考えていない人にその考えを変えてもらおうなんて、そんなおこがましいことは考えていません。
ただ、顕微鏡を使っている歯科医師で、見えない部位の治療の精度を上げたいけどどうすればいいのかと悩んでいる人がいるならば、是非参考にしてください。
顕微鏡治療を検討されている患者さんも是非参考にしてください。
顕微鏡を使っている歯科医院はたくさんありますが、歯科医師の考え方によっては同じ顕微鏡を使ってもこんなに方法が異なります。
もちろん歯を治すという目的は同じなのですが、手法が違います。
手法が違うということは結果も異なると思います。 しかしどちらの先生もベストを尽くしているのは確かだと思います。
「見ながら」治療できる顕微鏡歯科医にこだわりたい患者さんは探すときに参考にしてください。
約7万軒ある歯科医院なので、考え方はたくさんあって当たり前です。
ただ、ミラーテクニックだと質が劣るとかミラーテクニックなんか不要と主張されると、いやいや、そのような考えだけではありませんよと私の考えを述べたくなります。
10万人の歯科医師のうちの一人である私の考えは、
「見えないから質が下がる」です。
これからも「見ながら」治療することにこだわり続けます。
おもて歯科医院
歯学博士
表 茂稔