2018
10/03
歯科医師が患者になった時
- 2018.10.03
- ブログ歯記
- 顕微鏡歯科治療(マイクロスコープ)
自分は食べないけど他人には食べさせる。
自分はやらないけど他人にはする。
このような話はよく聞く話です。
今回は私自身が患者になった話です。
歯科医師が選ぶ歯科医院とは!?
りんごの話し。
ある先生から聞いたお話です。
その歯科医院で働いているスタッフのお父さんがりんごのお土産を持ってきました。
「これはうちの農園で作ったりんごで、家族が食べる分のりんごなので安心して食べてください。」
と言われたそうです。
消費者が安くりんごを食べるには、農薬をたくさん使ってコストを抑えるしか方法がないのでしょうね。
家族が安心して食べられるようなりんごは、コストがかかりすぎて値段が高くなり消費者の需要はあまりないのかも。
商売としてコストがかかっても、需要があって利益が出せれば安心して食べられるりんごが増えるかもしれません。
レーシックの話し。
私はド近眼なので、コンタクトを作りに眼科に行きました。
待合室に置いてあるリーフレットを手に取ると、レーシックについての内容が書いてありました。
「レーシックの安全性」、「患者さんの喜びの声」など私も煩わしい眼鏡やコンタクトから解放されたく思い、レーシック受けてみようかなと思いました。
しかし、リーフレットの終わりのページの院長の写真を見てびっくり!!
思いっきり眼鏡かけてる写真じゃないですか‼️
あれほどレーシックの良いことばかり書いてあるのになんで自分は眼鏡なの?
ただのメガネ好きなのかな?
歯の話し
歯科医師で顕微鏡歯科治療をする私の話し。
私や家族の歯の治療は顕微鏡治療以外考えられません。
レーシックの先生とは違います。
患者さんに対しても、自分が受けたいと思う治療法を提案しています。
コストはかかるが自分の家族が安心して受けられる治療法をお勧めしています。
でも、 農薬を使った安価なりんごを求める人もいます。
善悪ではありません。
自分の意思で選ぶということはとても大事なことです。
もちろん、それを判断するための情報は十分にお伝えします。
このような話ってよく聞きますよね。
特に歯科治療を受けるとき、皆さんは十分説明を受けていますか?
例えばあなたの歯にとってとても良い治療法が自由診療の治療法だった場合、あなたはその説明を聞きたいですか?
私達には初めてお会いする患者さんが何を望んでいるのかはわかりません。
私達は歯科治療は医療だと真剣に考えていますので、病気の治療法は保険とか保険外とかそのような壁で区切らずに、治療法の選択肢をお伝えしています。
値段だけで良心的か悪徳かを判断する患者さんにはあまり向かないのかもしれません。
私が歯科”医療”従事者として良心的だと考えていることは、患者さんの病気の状態を客観的に説明し、治療法、メリット、デメリット、リスク、費用を正確に伝え、患者さんに対して真摯でフェアな応対をすることだと考えています。
皆さんに私の有言実行をお見せするときがやってきました。
およそ1年前から私の上の奥歯が噛むと痛くなりました(咬合痛)。
ちなみに私のこの歯にはインレーが入っていました。
インレーは虫歯の治療法でごく一般的なやり方ですが、見方によっては歯を割る楔のような役割もあります。
奥歯の咬合痛は破折の可能性があるので、なるべく早く相談してくださいね、と患者さんには日頃説明しています。
やがて酷い冷水痛が襲ってきました。
自分ではこの症状の経過は破折だろうとは思っていましたが、ついついそのままに。
そうこうしているうちに激しい自発痛が襲ってきました。
ご飯も食べられない、というより食欲がわきませんでした
あーこれもわかってるくせにほったらかした自分が悪いんだと後悔しながら、最後の手段強制就寝しましたが、痛くてなかなか寝れませんでした
二日ばかり痛みに耐えていたら、その後痛みはぱったり止まりました。
それでもまだ治療に行かない自分の愚かさよ!!
さらにそうこうしているうちに
バキッッッ
とうとう歯が割れました。
割れたのは歯の頭の一部分で、歯根が割れているかは自分では判断できません。
こうなった以上、やっと予定をどうにか調整して治療に行くことにしました。
歯科医師であり患者の私の歯科医院選びの条件は
顕微鏡歯科医!
これ以外に考えられません。
今や顕微鏡を所有する歯医者は多くなりましたが、本当に使っている歯科医師は極少数です。
今回の私の奥歯は根の治療が必要になりますが、保険の根の治療の成功率は30%程度。
成功率は「痛くない」だけではないです。
痛くなくても骨が膿んでしまって病んでしまっている歯は意外と多いんですよ。
ですから、今回は自由診療できちんと顕微鏡治療をしてくれる歯科医師に治療をお願いしました
歯科医院選びは難しい!!
よく聞きます。
皆さんは何を参考して選びますか?
ネットの口コミ?? やらせの匂いがプンプンしますね笑
知り合いの口コミ?? 早い、安い、先生が優しい これで歯が治ればいいのですが、、、
なかなか難しいですよね。
ぜひ参考にしてください!
現役歯科医師でもあり顕微鏡歯科医師が患者になった時の歯科医院 の選び方を
特に根の治療は、この歯を残すための最後の治療法です。
ラバーダムもしない、手探りでグリグリする、おまけに根管治療の本当の知識もない歯医者に治療してもらうと、大事な歯を失いかねません。
では、そのような歯科医師をどうやって探せばいいのでしょう??
いろいろあると思いますが、
顕微鏡歯科ネットワークジャパン
おすすめです。
もちろん他にもお任せできる歯科医師はいますが、なかなか探し当てるのはたいへんだと思います。
後悔しない歯科医選びの参考にしてください!!
皆さんは私のようにほったらかして後悔しないように早めに受診してください!
右上6の口蓋側の咬頭から歯肉のあたりまでごっそりと割れてインレーの端っこがむき出しになっていました。
顕微鏡で見てみると歯の神経が入っていた部屋がわずかに見えていたそうです。
レントゲン写真とCTを撮影してもらいました。
CT撮影時は体が動いてしまうとモーションアーチファクトといって映像に悪影響がありますので唾は飲み込まないようにしましょう!
レントゲン写真でははっきりわからないのですが、CTだと見事なペルっぷり!!(相当悪いという意味です)
3本根っこがありますが3本とも骨に膿が溜まっている状態です。
この膿は根の中の起炎症性物質や細菌感染が原因です。
歯がごっそりなくなっている箇所は隔壁を作成しなければいけません。
隔壁は根管治療を成功させるための最初の一歩です。
保険にはありません。というかどうやら治療費に含まれているとの解釈らしいです。
隔壁を作る前に虫歯があれば除去しておく必要があるのですが、やはり虫歯はなかったようです。
隔壁ができたならラバーダムを設置できます。
日本では未だにラバーダムは必要ないといっている歯医者が多数います。
ちなみにアメリカではラバーダムをせずに根管治療をして予後不良で訴えられると歯科医師は裁判に負けるそうです。
人から聞いた話です。
でもアメリカの治療費は日本の十数倍以上高いので単純に比べることはできません。
先ほどの隔壁も同様に。
マクドナルド指数というもので各国の根管治療費を比較すると平均500食くらいが根管治療費になるそうです。
これで計算してみると日本の根管治療費はおよそ25万円になります。
25万円相当のものを9500円(3割負担だと3000円)で治療するということを喜びますか?疑いますか?
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日本の根管治療事情
今回私は病気を治すために自由診療の顕微鏡治療を選択しました。
私は高校生くらいから顎関節症で、大きく口が開かないし辛いです。
それが一番心配でした。
どうしても根管治療は時間が長くなりがちなのでこのような患者さんへの配慮が必要です。
ラバーダム装着後、まずは器具が入りやすいように歯を削ります。
多くの歯医者さんと顕微鏡を持っているだけの歯医者さんはこれを手探りで行いますが、顕微鏡歯科医は見ながら削るのでパーフォレーションの心配がなくとても安心して治療をお任せできました。
ようやく重い腰を上げて自分の治療が始まりました。
人間て、ついつい な生き物で 私なんか特にその傾向が強いです
やはり奥歯の咬合痛があり破折が認められれば早めに適合の良いクラウンにすべきだと身をもって確信しています。
医療に絶対はありません。
患者さんもより正確な情報を取り入れて「患者力」をつけることも大事です。
現在奥歯の根の治療2回目が終わり、日に日に具合が良くなっているのを実感しています
歯科治療はホンッットに細かい治療で神経を使います。
さらに顕微鏡で治療しているとわずかな体動で視野がブレてしまい精密な治療をしている妨げにも為り得ますのでとても神経を使います。
患者さんの協力・理解なしでは成り立ちません。
でも長い時間動かないでいるのは辛いですよね。
私が術者の時に感じているのは頻繁に嚥下をする人、舌を良く動かす人はなかなか手強く感じています。
何よりも口呼吸をする人はとても危険です。
「鼻呼吸してくださいね」
「喉が弱いので水があるとできないんです」
という患者さんは水がなくても口呼吸しています。
こんな患者さんのための練習法を紹介します!
ガーグルストップ法!!
なんてことはない、ガラガラして水を溜めたまま鼻呼吸するだけです!!
ぜひ試してください
私は今患者です。
心がけているのは
1、遅刻をしない。
2、挨拶をする。
3、鼻呼吸をする。
4、舌をあまり動かさない
5、先生を信頼している。
です笑
自称模範的患者だと自負しております。
5、先生を信頼している。 は私は同業者なのでこの治療の成功率、起こり得る痛み、今何を行なっているのか、費用等理解していますので当たり前です。
皆さんは治療中、不安と戦いながら頑張っていると思います。
だから不安、心配、疑問に思ったことは遠慮しないで担当医に聞いてください!
信頼関係というのはお互いがキャッチボールしないと構築できません。
私が思う信頼するのに値する歯科医師とは不都合な真実をきちんと患者さんに伝えるということです。
歯医者はコンビニより多く過当競争が激しいと言われています。
私が勤めたことのある反面教師歯科医院は、
「1回の患者さんの支払う金額は1,000円を超えるな。あそこは高い歯医者だと思われると敬遠されるんだよ。」
と言ってました。
この会話には医学的な内容は一切含まれておりません。
商いの会話です。
とっても人気のある歯医者さんでした。
私は病気を治し、健康にプラスになるのであれば高くても良い治療法を紹介します。
医療なので値段に関係なく選択肢を提示することが大事だと思っています。
歯科医師の技術力は当たり前ですが様々です。
せっかく良い治療をしてもらうため保険のきかない方法を選んだのに、歯科医の選択を誤ったばかりに後悔している患者さんを多く見ています。
医療に100%はないのは患者になった歯科医師も平等に同じです。
だからこそ後悔しない選択をしてください
おもて歯科医院
歯学博士
表 茂稔