ある新聞のコラムに歯科について書いてあったので感じたことを一言、二言。
2013年11月18日の投稿を加筆修正
毎週月曜日に東京新聞に掲載される、看護師の宮子あずささんの『本音のコラム』というコラムをいつも興味深く読ませてもらっています。
今日は『歯科医の受難』というタイトル。
おっ、なになに?と思いながら読みました。
彼女の知り合いの人が歯の治療にかかっているらしいのですが、
ー 日本の歯科医師は早く治すと儲からないから、わざとだらだら治療をするらしいよ ー
と話したそうです。
保険治療には国が決めたルールがあります。
歯周病の治療には、1度にできる部位や本数が決まっています。
時間がかかってもいいから1度にやってしまってよ、ということは保険治療である限りできません。
理由は国が決めたからです。たぶん医療費の削減が目的でしょう。
それに加えて、毎月患者一人当たりの平均点数が全国の平均点の1.2倍を超えた歯科医院上位数%は無条件に社会保険庁に出頭して厳しい取り調べを受けなくてはいけないので(歯科医院を何日も休診して出頭しなければいけません)、これもいっぺんに治療できない理由の1つでもあると思います。
社会保険庁に出頭した時点でその歯医者は犯罪者扱いで、厳しい追及で自殺した歯医者さんもいます。
ですから私の推測だと、儲けるためにというよりも、保険のルールに抵触しないようにしているのではないかと思います。
たまにすごい発想をお持ちの歯医者の先生がいますのでこの限りではありませんが。
コラム後半には、歯医者の過剰について書かれています。
医科は増えすぎた歯医者のこの顛末を教訓にして、医師の数を増やすのに慎重です。
歯科医院といえばコンビニより多い。
もう慣用句になっていて、テレビや雑誌のとりあげ方は歯医者さんに憐れみを恵んでくれているように感じます。
でも、おかしくないですか?
歯医者の数は飽和状態なのに、皆さんのお口は健康ですか?
街を歩けば歯科医院だらけなのに、私は健康なお口の持ち主をあまり見たことはありません。
歯科医院という場所がら、病気を持っている人が来るのは当たり前ですが、過去に治療してある歯で申し分ない治療を受けている人をあまり見たことがありません。
小、中学校の検診にいっても、健康な歯肉の生徒はほとんどいません。
歯医者さんは過剰でも、健康に導けるような歯科医師はじつは不足しているのかもしれません。
いやいや、健康ではないと気付いてない人達に受診を呼びかける努力が足りないのかもしれません。
医療は国の医療制度に大きく影響を受けます。
日本の国民皆保険により低価格で医療を受けられることは本当に素晴らしいことです。
海外の10分の1から20分の1の費用で歯科治療を受けられるのですから。
もちろん治療の質も同じというわけにはいきません。
新聞のコラムのような印象を持っている患者さんはとても多いのではないでしょうか。
せっかくどこに行っても歯医者があるという恵まれた環境なのに、口腔の健康状態が良くないという現状に疑問を抱いている人は是非情報収集をしてください。
ちょっと話が逸れますが、コンビニより多い歯医者と同時に歯医者の年収が300万とか400万とかもメディアで流れています。
と、同時に私立歯科大学の偏差値は40台がほとんどです。
医学部は大体最低でも60以上です。
偏差値50がちょうど真ん中なので歯科大学に入学する大多数の生徒の学力は平均以下です。
海外に目を向けると多くの国では医科より歯科が人気で、偏差値は医学部より歯学部の方が高いです。
ヨーロッパの一部の国では歯科医師になるには医学部を卒業した人がさらに歯科の勉強をして歯科医師になれます。
何故なのか。
年収が医師より高いからです。
もうなんだかんだ言っても綺麗事言ってもこれが人間の性(さが)なのでしょう。
もし自分のお子様が歯学部に行きたいと言ったらいかせますか。
受験生も歯学部に行きたいと思うかな。
親の立場なら高い授業料払っても年収300万くらいじゃ割に合わんと思うお父さんも多いはずです。
低偏差値、低収入の歯医者だから保険治療で安くて質の低い歯科治療で我慢してくださいね、だとしたら諦めがつきますか。
私は嫌です。
私は全然偏差値は気にしないのですが(自分も低いので)安かろう悪かろうが嫌なのです。自分の歯の治療に。
そもそも偏差値で職業決めるのが大間違いだと思っている人間ですから。
昭和の戦争の海軍・陸軍も勉強はできるエリートでした。
今の受験科目のようなもので選抜していました。
幹部は無能で前線で戦う兵士は優秀だったということは多くの日本人が知っている事実です。
現在の政治家・官僚はどうでしょうか。
東大や難関大学の勉強のできる人たちが国を運営して、色々な決まりごとを決めていますが、皆さんはどう思いますか。
受験科目の勉強ができるからその職業に適性があるとは思いませんが、やはり年収が高くなる職種は人気が出るし、そこに競争が生まれるので自然と大学入試の偏差値が上がるわけです。
世間は正直です。
歯科大学の入試競争倍率は2倍弱です。
いちてん何倍です。
定員割れをしているところもあるようです。
治療回数が長いと儲ける仕組みなんだと思われるくらい歯医者なんて底辺の職業なんですよ。日本では。
私個人は歯科ほどアートとサイエンスが融合されている職業はないんじゃないかと思うほど素敵な職業だと思っています。
誰もが恩恵を受けられる保険治療は、その独特のルールを守って初めて安い治療費で受診できるので行政も歯科医療機関ももっと患者さんが周知できるように情報を発信して、残念な誤解を持たれないような努力をしないといけませんね。
日頃患者さんに治療の説明をすれば治療費の説明は必ずしないといけません。
安い治療費=良心的な歯医者
高い治療費=ぼったくり、悪徳歯医者
だと短絡的に思わないでくださいね!!笑
不都合な真実を話すと敬遠されがちですが、浦安で地道に自分が良いと思う歯科医療に取り組んでいきます。
おもて歯科医院
歯学博士
表 茂稔