2018
11/11
顕微鏡根管治療 in 浦安
- 2018.11.11
- ブログ歯記
- マイクロエンド・ 根管治療・ 顕微鏡歯科治療(マイクロスコープ)
浦安で顕微鏡歯科治療を続けて10年になります。 顕微鏡で本当の意味での「見る」にこだわり続けて毎日診療してきました。 今回はルーティンワークとしての顕微鏡根管治療(マイクロエンド)について紹介します。
患者さんは当ブログ前出の方で、右下5の治療をしている時から気になっていた隣の6が患歯です。
患歯の下の歯肉には白いおできのようなものができていたため、デンタルX線写真を撮影しました。
近遠心根の根尖付近に病変らしきものが認められますし、分岐部にも何やら怪しい影が認められます。
患者さんに尋ねてみると、噛むと痛い時があるとのことでした。
現在の状況を説明すると、患者さんは根管治療を希望されましたのでCTを撮影しました。
根の形態は軽度な湾曲を呈しており、そこにレッジが形成されていると予測しました。
ラバーダムを設置してから銀歯を外します。
金属を削ると切削紛がかなり出ますので、体内に入れないためにもラバーダムは極力した方がいいと思います。
銀歯を外すと、レジンコアでしょうか。 歯との接合部が汚物でライン状に見えます。
これは銀歯の適合が悪く、おまけにコアの適合も悪いため内部に漏洩しています。
このレジンコアを除去してう蝕染色液で染め出してみると、歯の内部はびっちりと汚染されていました。
レントゲン写真での分岐部の影はこれが原因だったのかもしれません。
さらに根管に注目してみると、まだ残っているレジンコアの周辺が青く染まっています。
多くの歯医者さんは根の先端ばかりに目がいってしまい、グリグリ器具をひたすら回して掃除らしきことをしますが、根管口上部には象牙細管が多数存在し圧倒的に細菌数が多くなりがちな場所です。
上部を綺麗にしないで根管治療の成功はあり得ません。
だから、根管治療後の補綴物の精度は高いものでなければいけないのです。
精度が悪ければ外部から細菌が侵入し、再び根管が感染してしまうからです。 上
部を綺麗にしてから根尖へと向かいます。
先ほどの残ったレジンを除去するとその下に柔らかいものがボロボロと出てきました。
それらを取り除くと根管充填材が見えてきたので、可能な限り全摘を狙って除去します。
ガッタパーチャは多孔性なので、漏洩していた根管内にあったのであれば細菌の住みかと思った方が良いです。
根管口上部を探索するとフィンと思われる窪みがあったので、そこをファイリングするとボロボロと軟化したものがとれました。
治療後のフレアアップという強い痛みの原因は断定はされてはいませんが、汚物が根尖孔外に溢出した時に起こりやすいと言われています。
ですから、根尖付近を触るならできるだけ上部を綺麗にしてから触るよう心がけています。
根尖付近に残っている僅かなガッタパーチャを慎重に取り出します。
可及的にガッタパーチャを取り除いた遠心根
近心根も同様に上部を綺麗にしながらがったパーチャを除去しながら根尖付近へと近づいて行きます。
近心根も根尖付近に残ったガッタパーチャを慎重に取り除きます。
近心根には頰舌にイスマスという連絡通路のようなものがあり、この中に壊死歯髄が入っていることがあります。
ただ、ここを完全に削ってしまうと歯根破折の危険性が高くなってしまうので、どこまで削るかの判断が難しいところです。
機械的な清掃が終わったら化学的洗浄です。
根管は単純な一本道の通路ではなく、複雑な網状の通路なので機械的清掃には限度があります。
かと言って化学的な洗浄をすれば完全に綺麗にできるわけではありません。 そこのところが成功率100%ではない所以です。
根管洗浄法もまだこれに決まり、と決まっていないようなので今のところ超音波による洗浄法を採用しています。
根管充填はMTAセメントで行います。
MTAを使いさえすれば根尖病変が治るということではなく、一番大事なことは根管内をできるだけ無菌化にすることです。
MTAセメントは非常に操作性の悪い材料なので、根管充填をするにはコツが入ります。
根管充填後のレントゲン写真
こうして根管治療が終わった後は、漏洩のない適合精度の良い補綴物の製作です。
根管治療と補綴は一連の治療になります。
精度の悪いクラウンはせっかく根管治療した歯を台無しにしてしまうので注意をしましょう。
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