日本の開業医が顕微鏡歯科治療を導入して20年以上が経ちました。
現在では世界で最も顕微鏡が導入されているのが日本です。
安価で治療内容に制限のある保険治療という環境の中、どうしてこれほどまでに顕微鏡が導入されるのか。
顕微鏡歯科治療の本質とは何なのかを問い続けます

第17回日本顕微鏡歯科学会がWEBで開催されました。
大会テーマは「顕微鏡歯科のネクストステージ」です。

第16回日本顕微鏡歯科学会に続き2大会続けて口演発表をしました。

演題名は「直視直逹を考える」です。

私は顕微鏡歯科治療にもかかわらず「見えていない顕微鏡歯科治療」が行われている事に強い抵抗感をずーっと抱き続けていました。

顕微鏡は小さなものを拡大する機器であって死角が自動的に見る事ができる機器ではありません。

歯科治療は死角をどうやって克服して治療の精度を高めることができるのかが重要なのです。

その為には必ずミラーテクニックを習得する必要があります。
必須です。

しかしミラーテクニックを習得するには練習を根気良く続けなければ修得できません。

顕微鏡を購入した多くの歯医者はミラーテクニックの大切さを根本的に理解していません。

顕微鏡歯科治療が開業医に導入されて20年以上経過した現在、もういい加減に本当の意味の顕微鏡歯科治療とはどのようなものなのか、共通した認識を共有して顕微鏡歯科治療のさらなる発展に繋げていきたいと心の底からずーっと願っていました。

そんなことから第16回日本顕微鏡歯科学会「精密歯科治療を極める」と17回日本顕微鏡歯科学会「顕微鏡歯科のネクストステージ」で発表することを決めていました。

ミラーテクニックでは形成が正確にできないとか両手が使えないので外科には向かないなど、ミラーテクニックの本質が理解できていない歯医者の決まり文句に応える為に、
第16回大会では精密なクラウンについて、第17回大会では埋伏歯(親知らず)抜歯の症例で顕微鏡歯科治療の本質に対して問いかけをしました。

その結果私の考えに賛同していただけたのかどうかは判りませんが、第17回日本顕微鏡歯科学会大会長賞を受賞することができました。

もし眼の手術が見ながら手術できるにもかかわらず手探りの手術をされたらどう思いますか?
もし脳の手術で見ながら手術できるにもかかわらず手探りの手術をされたらどう思いますか?
どうして歯は見ながら治療できる方法があるのに手探りの治療が行われ続けているのでしょうか。
顕微鏡を扱う歯科医師と歯科衛生士の意識が大きく変わることを期待しています。

10年くらい前は顕微鏡の出現は歯科治療にパラダイムシフトを引き起こすとよく言われていました。
残念ながら歯科医師と歯科衛生士の思考のパラダイムシフトは今のところ十分ではありません。

冒頭にも記載しましたが保険診療という安価で制限のある制度の中でできるだけきちんとした歯科治療をしたいという歯科医師、歯科衛生士が多数います。
きちんとした治療=見える治療だと思います。

もしかしたら保険治療なので死角で見えなくても顕微鏡使っているだけありがたいでしょ?
という感覚の歯科医療従事者もいるかもしれませんね。

まあ、現実の治療となると色々な歯医者の考え方もあるし多種多様な患者さんの要望もありますからね。

少なくとも日本顕微鏡歯科学会で発表されるシンポジウムや講演、口演発表で手探りの治療を見せられるのはもう勘弁して欲しいです。

勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし

故野村監督の言葉です。

手探りの治療でも長持ちする歯も多数あるでしょう。
しかし経過の悪い歯には必ず原因があります。
手探りの治療ではその原因を見逃してしまいます。

成功率100%の歯科治療なんて存在しませんが、もし自分が治療した歯の不具合が出た場合疑うのは自分自身です。
何か見落としがなかったのか、と。
だから治療の動画映像は全て記録保存して後で見返せるようにしています。

人間は一生のうちに逢うべき人には必ず逢える。
しかも、一瞬早すぎず、一瞬遅すぎない時に。
縁は求めざるには生ぜず。
うちに求める心なくんば、たとえその人の面前にありとも、
ついに縁は生ずるに至らずと知るべし。
森信三

少しでも顕微鏡歯科治療が発展することを願い、必要としている患者さんに届きますように。