根管治療がうまくいかなければ歯を残すことはできません。
歯科医療は技術職です。
歯科医院の選択で結果は大きく変わります。
コンビニより多い歯医者。
歯科医院を選ぶ患者さんの「見る目」を強化することが歯を助けることに繋がります。

患者さんは数年前初めて当院に来院されました。

その時に右上の前歯に根尖病変があることを指摘しました。

その歯には大きな詰め物がされていましたが、その影響なのか歯髄が失活してしまい自覚症状のないまま根の先端周辺の骨が膿んでいました。

自由診療の顕微鏡根管治療の費用は約10万円ほどかかり、その後の修復物は別途であること、根管治療の回数は2,3回であることを説明しましたが、その当時は自覚症状がないので治療は希望されませんでした。

数年後、その前歯に鈍痛、違和感を感じ、久しぶりにお見えになりました。

以前当院に受診した後、他の歯科医院に受診していたようですが、担当の歯医者はこの前歯は根管治療では治せないので手術を勧めたそうです。

この患者さんのように、以前おもて歯科医院に通院していたのに他の歯医者に転院された患者さんも、へんな気を使わずに、困ったことがあったら是非相談しにいらしてくださいね。

私はこのようなことに理解を示しています。

まったく私は気にしていませんし、意地悪なんかしませんから、大切な歯のために当院にいらして下さい。

なかなか気まずく感じてしまい電話を躊躇してしまうかもしれませんが、いつでも優しくうけいれます。

ただ、顕微鏡治療の予約をしたにもかかわらず当日キャンセルして来院が途絶え、しかもコミュニケーションもとりづらい人は、私が治療を成功させる自信がまったくないのでお断りします。

こちらはそれなりの時間を確保して準備を調え、その人のためだけにお待ちしているのに、そのような仕打ちをするような人とはうまくやっていける自信がありません。

レントゲン写真とCTで分析すると、十分根管治療で治せる可能性があると判断しました。

研究報告では、根尖病変のあるイニシャルトリートメント(1回目の根管治療)の成功率は約80%と言われています。
この報告は日本の保険治療でのことではなく、国際的な標準的根管治療のことで、根管治療専門医が治療した研究報告です。

ちなみに日本の根管治療専門医はごく少数です。
日本の学会の「専門医」を真の専門医と呼んでよいのか、私はどちらかというと否定的です。
私が知る限りの本当の意味での根管治療専門医は日本の学会の専門医という呼称に興味を持っていません。
立場上しがらみでかかわる根管治療専門医はいらっしゃいます。

ラバーダムを設置して入口部分を整えます。

根の先端まで細い器具を貫通させた後はニッケルチタンファイルで根管形成します。
この症例で使用したNi-Tiファイルは、超弾性ではなく形状記憶型のファイルを選択しました。

超弾性が無いのでスプリングバックしないために今回のケースのように湾曲がややあり、病変がある歯には適していると判断しました。

弾性があると常に元に戻ろうとする力が働き、湾曲根管では内湾部分の機械的清掃が疎かになりトランスポーテーションが起きやすくなります。

どちらに優劣があるというわけでは無く、ファイルの特性をよく理解して適材適所で使うことが大事です。

私は疑い深いので、念には念を入れて手用器具にあらかじめプレカーブをつけて次亜塩素酸ナトリウム下で内湾を意識したファイリングをします。
このときはファイルの弾性を利用しています。

機械的な清掃が終わったら化学的な洗浄をします。

使用しているのは器具先端部から次亜塩素酸ナトリウムが噴出し、金属部分が超音波振動をすることで洗浄効果を高めています。
約20分ほど洗浄しています。

最後に根管充填

MTAセメントは強アルカリ性で細菌にも効果があり、適度な膨張があるので封鎖性に優れています。
カルシウムイオンを放出し続けるので根尖周囲組織の治癒過程にも良い影響があります。
ただ、操作性があまり良くありません。

治療後9ヶ月

病変は縮小傾向にあります。
患者さんの違和感は早期に消失しました。

この治療を機会に患者さんは他の問題がある歯の治療を顕微鏡治療で行いました。
現在進行形のものも含めて後日ブログで紹介します。

以上が国内の学会の根管治療「専門医」という肩書のない顕微鏡歯科医の根管治療です。