2024
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見落としをできるだけ無くす虫歯治療
- 2024.01.30
- ブログ歯記
- 顕微鏡歯科治療(マイクロスコープ)・ 顕微鏡精密レジン充填
右上犬歯の遠心にう蝕があるため、レジン修復を行いました。
修復処置にもできるだけラバーダムをした方が良いです。
特に接着は湿度のコントロールが大事ですし、う蝕が深く露髄してしまう時もあるからです。
古いレジンを除去すると下部にやや進んだう蝕が現れました。
削らないところ、削るところを選択的に行います。
視覚と手指感覚で器具操作をします。
う蝕を大部分除去した後窩洞内を確認すると、エナメル質にクラックが認められました。
クラック内にはたくさんの細菌がパッキングされているのは電子顕微鏡で明らかになっています。
スーパーファインのバーでエナメル質のクラックを除去します。
余計な健全歯質を削り過ぎてしまわないようにクラックを除去した後の確認。
無事除去できたと思いきや、他にもエナメルクラックが認められました。
再び慎重にクラックを除去します。
クラックは除去できたかのように見えます。
しかし透照診で確認するとまだクラックが残存していました。
一体どこまで除去すべきなのか、そもそも除去すべきものなのか。
残念ながら今のところ治療指針は存在しないので自分で考える他ありません。
幸いほどほどのところでクラックを除去することができました。
プライミング、ボンディングレジンを塗布した後充填していきます。
術後の確認
治療中にクラックを発見することは多いのですが、その対処法は未だ確立されていません。
クラックが細菌の通り道になるので除去した方が良いとは思います。
顕微鏡で拡大しながら治療すると、わずかな異変にも気づくことができさらにミラーテクニックを修得していると見ながら処置ができます。
虫歯の治療一つとっても「簡単にできますよ」と安請け合いをすることは自分にはできません。
あまり細かいことを気にせずにパパッと安く早く治療したい人は当院向きではありません。
本症例の治療費
レジン修復 約5万円
おもて歯科医院
歯学博士
表 茂稔