保険治療の謎と自由診療の謎

数年前の大きな台風が浦安を襲った時、地域の情報取得のため「浦安オープンチャット」というLINEのグループに入りました。
そのチャットは浦安の情報をリアルタイムで得られるので現在でも利用しています。

そのチャットでしばしば取り上げられるのが「保険で良心的な歯医者を教えてください」「オススメの歯医者を教えてください」という話題です。

歯の治療には顕微鏡を使ったほうがいいのでしょうか?とか、浦安の歯医者は顕微鏡を使った根管治療は自由診療になるが他の地域だと保険適用になるのはおかしいなど。

ちなみに顕微鏡加算で保険で算定できるのは届け出をした歯科医院だけになります。
届け出をすると従来の根管治療の費用が約1万円(3割負担で約3千円)がCT撮影なども含めると約2万円(3割負担で約6千円)で顕微鏡で根管治療ができるらしいです。
正確に言うと届け出しなくても算定はできないが顕微鏡を使うのは歯医者の自由です。

確かに患者さんにとって歯科の自由診療は意味不明ですよね。

医科ではエビデンスのある治療は保険治療で、自由診療はエビデンスのないトンデモ医療だという認識が医師にはあるそうです。もちろん自由診療の一部にはきちんとした治療法はありますよ。

医師目線で見ると歯医者が自由診療を勧めるのは金儲けのトンデモ歯科治療だと感じるのは頷けます。

これが歯科医師と医師の格差の象徴で、歯学部の低偏差値と医学部の高偏差値の差にも繋がり、定員割れと高倍率競争の差にもなって表れるのでしょうか?

私自身質の高い歯科治療を提供したいと思い、少なからず勉強をし技術向上のために練習を積み重ねてきました。

個人的な考えですが、歯科でエビデンスのあるしっかりとした治療をするのであれば保険で決められている治療費では絶対に無理な設定になっています。

極めて個人的な考えですが、保険で良い治療をしますという歯医者は嘘をついているか、甚だ勉強不足か、歯科医業で収益をあげなくてもよい歯医者か、人間離れした神業的な技術で短時間で治療できる歯医者だと思っています。

どうして歯科の保険治療費がこのようになっているか真意はわかりません。

このような状況であればエビデンスのあるきちんとした歯科治療を自由診療で提供したいと考える歯科医師が出現しても不思議ではないですよね。

もちろん本当に金儲けだけの自由診療を勧める歯医者もいると思います。

顕微鏡治療というものが現れてから、真っ当な歯科治療がしたいという歯科医師が増加したことは間違いありません。
それだけ「見える」ことの影響は大きいのだと思います。
見えることで大事な何かに気づいたのかもしれません。

まともな歯科医師であれば非現実的な保険治療の設定にこだわらずに自由診療で質の高い治療を、と考えるのも不思議ではないと思います。

患者さんにうしろめたいことをせずに正直に向き合いたいという歯科医師が増えたことは私はとても喜ばしいことだと思います。

保険の制度を考えるのは政治家と官僚と一部の歯医者の仕事です。

目の前の患者さんに全力を尽くして取り組むのが我々臨床歯科医師の義務であり、その義務を果たすには保険という枠組みでは大変困難だといということです。

まともな歯科医師が行う自由診療はそれほど金儲けできません。

どちらかというと保険でやってくれる歯医者は良心的だと思う患者さんの心理をうまく活用して、保険で顕微鏡治療しますねーとか、毎月クリーニングしましょうねーとか、保険で白い歯にしましょうねーとか言っている歯医者の方が何倍も金持ちです(私の実感)。

どんな治療を選ぶかは個人の自由ですし保険治療も病を治すという意味では脆弱な制度ですが全く否定しません。

ただまともな歯科治療に取り組む歯科医師の自由診療を不当に金儲けのためと言われるとガッカリするし虚しく感じます。

チャットの会話も予想通りの内容なのでコメントする気にもなりません。

今は自分次第で様々な情報を得ることができます。

私達が行なっている歯科治療を必要としている患者さんに、私達のメッセージが届くことを願っています。

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おもて歯科医院
歯学博士
日本顕微鏡歯科学会理事
日本顕微鏡歯科学会認定指導医
日本歯科大学臨床講師
顕微鏡歯科ネットワークジャパン認定医
表 茂稔