2020
5/22
親知らず抜歯3連続
- 2020.05.22
- ブログ歯記
- 抜歯・ 痛くない腫れない怖くない・ 顕微鏡歯科治療(マイクロスコープ)
新型コロナウィルスで自粛が続く中、親知らずの抜歯を希望する患者さんが多くいらっしゃいました。
不要不急の外出は慎まねばなりませんが、歯の治療は決して不要ではありません。
今回は3本の親知らずを抜歯した患者さんで、3本とも全く痛みがなかった患者さんの下顎埋伏智歯抜歯を紹介します。
患者さんは20代男性。
新型コロナウィルスの影響でお仕事がお休みになったので、親知らずを抜きたいということで来院されました。
①の上顎左側の親知らずが頬粘膜を噛んでしまうため痛いとのことでした。
一番奥で清掃不良でもあるので抜歯をすることにしましたが、患者さんはとてもビクビクしてます。
しかし抜歯を終えたらとても嬉しそうに、「全く痛くないです。これなら他の親知らずも抜いてください!」とお話しされました。
他の親知らずとは②③のことで、①とは状況が違うのですが、この機会を逸するとこのまま放っておくことになり隣の歯にも悪影響が及びますので抜歯の予定を立てました。
今回のブログは②の下顎右側埋伏智歯抜歯を紹介します。
私が行う埋伏智歯抜歯は、歯を分割して抜くことで骨を極力削りません。
顕微鏡とミラーテクニックで行うため、「見ながら治療」できるので切開・剥離が少ないのが特徴です。
だから痛まず腫れない親知らず抜歯ができると考えています。
歯肉を切開した後親知らずを削るので血液混じりの飛沫が出ます。
当院では飛沫が出る処置を行う場合はマイクロドレープ下で行います。
抜歯に先立ち十分にイメージトレーニングをします。
下歯槽管との距離や歯根の形態、舌側骨の厚みなどCTを何度も見て確認します。
サジタル
アキシャル
コロナル
下顎孔伝達麻酔と頬側浸潤麻酔で十分麻酔を奏効させます。
麻酔がしっかり効かなければ治療を始められません。
骨上に最小の切開を入れ粘膜を剥離します。
なるべく侵襲が少なくなるように切開剥離を最小にしていますが、場合によっては安全性を考慮して途中から切開剥離することもあります。
臨機応変に。
最小の剥離
切開剥離が終わったら歯冠を分割します。
親知らずをどんなに細切れに分割しても術後の痛みや腫れには関係ありません。
歯冠を分割するのも見ながら行えるので、余計な骨や粘膜を傷つけることがないので出血も少ないです。
歯冠に切れ込みに楔を入れて分割。
歯冠の一部を除去。
同様に残った歯冠を何分割かし、除去します。
歯冠を全て除去したら歯根を取り出します。
脱臼方向を確認し、骨がしっかりしている部分を支点にし脱臼します。
脱臼は歯根膜腔にヘーベルを挿入します。
しかし見えないと歯根膜腔にヘーベルが入らず歯根を押し込んでしまうことがあります。
舌側の皮質骨が薄いとこれを突き破り舌側隙に歯根を迷入させてしまう可能性があります。
顕微鏡でミラーテクニックが使えれば確実にヘーベルを歯根膜腔に挿入できます。
見えるので無理をせず状況判断を正確に行えますし、見ながら処置ができるので正確に器具操作ができます。
スタープラチナのように。
骨はほとんど削除していないので取り出し口の穴は非常に小さいため、歯根も分割します。
最後に残った歯根を取り出し抜歯が完了。
抜歯窩の確認。
縫合。
1週間後の抜糸時、患者さんは全く痛みも腫れもなかったです!とのこと。
今度は③の上顎右側の抜歯の予定です。
あまり喜ばれるとチョッぴりプレッシャーというものを感じたりします笑。
すでに上顎右側の抜歯は終わっていますが、この親知らずも全く痛みも腫れもなく経過しています。
こちらの抜歯は後日ブログにて紹介いたします。
顕微鏡埋伏智歯抜歯
費用:5万円 (CT代別途)
おもて歯科医院
歯学博士
表 茂稔