根管治療(根の治療)は日本全国で1ヶ月約120万本、1年で約1500万本治療されています。
日本の保険の根管治療の成功率は約40%くらいといわれています。
歯種によって難易度が異なりますし、簡単であろうと思われる歯でも思わぬ落とし穴があるようです。
根管治療で治らない歯は抜歯になります。
歯を残せるか抜歯になるのか、あなたの選択に大きく委ねられます。

根尖病変は国民病なのかと思うくらい、この日本に溢れています。
日本中歯医者だらけにもかかわらず。

根尖病変とは根の周囲の骨が、根の中の細菌等が原因による炎症性の病気になっている状態のものです。

おもて歯科医院に来院した患者さんのレントゲン写真を、任意に選んでも、根尖病変を探し出すのは容易です。
根尖病変を診断するためには、レントゲン写真だけではなく問診をしっかり行わなくてはいけないですし、レントゲン写真だけで判断することは注意をしなければいけません。
根管治療後の経過の判断は4年が目安なので、それを加味しなければいけないのですが、それにしても日本の保険根管治療に疑問を抱かざるを得ないです。


下顎の小臼歯は比較的単純な根管形態と言われていますが、それでも側枝や根尖分岐、湾曲など根管治療の障壁となるものがある場合があります。
7にはファイル破折も認めます。
モンゴロイドの下顎6は4根の場合も決して少なくはありません。
根尖病変があるからと言って自覚症状があるわけではありません。


この歯は前医から抜歯と言われた歯です。


ラバーダムはどこの歯にも必要ですが、特に下顎は根管内への唾液の混入があるのが保険根管治療だと心配です。


7はコロナルリーケージ(クラウンマージンからの漏洩)。
そもそも不適切な根管治療。


上顎大臼歯は根管形態のバリエーションが豊富。


遠心根。
病変があるということはどこかに感染物質が潜んでいる。


上顎7は樋状根ようなものもある。


7は分岐部にパーフォレーション。


日本人は樋状根が比較的多い。


前歯に多数の根尖病変。


他院で根管治療中だが痛みがずっとある。


未治療の根管が認められる。


側枝や根尖分岐があるのだろうか。


近遠心根にまたがる病変。

これらは根尖病変のほんの一部です。
多くの患者さんの根管治療されている歯にレントゲン透過像を認めます。

根管治療は歯内療法とも呼ばれ、歯の内部、根管に潜んでいる感染物質を取り除く治療法です。
このような治療の特性上、根管治療の成否は歯の内部の形態に大きく影響されます。

従来のレントゲン写真では、内部の形態を把握することは困難である場合が多く、CTを撮影することで治療の成否を分けることは経験上非常に多いように感じます。


歯の内部にインクを注入して根管内部の形態を観察。
石灰化等があるとインクは侵入することができない。
黒く染まっているところが根管・側枝・根尖分岐・象牙細管など。
象牙細管は根尖付近では少ないと言われているが、歯によって差異がある。
現代の根管治療で根管洗浄が重要視されているのは、この複雑な根管系によるものであり、やはり外科処置というものは根管治療では必要不可欠なものであるということも納得である。
要は全ての感染物質を完全に除去するのは不可能ということ。
それでも、知識と技術を持った歯科医師のコンベンショナルな根管治療は有効だと考える。

抜歯を回避するにはどうしたらいいのか

知識と技術を備えた歯科医師を探すこと。

これ以外思いつきません。

一番簡単なのは根管治療専門医であれば探しやすいです。
自称根管治療専門医ではないですよ。

学会の専門医というものは、私はあまり信用していません。

これは個人個人の選球眼が違うのでなんとも言えませんが、真の根管治療専門医はあまり国内の学会の専門医という称号に興味を示していないような気がします。
私個人の感想です。

顕微鏡治療を真剣に行っている一般歯科医師もいいのではないかと思います。

一般歯科医で根管治療を真剣に行っているところは、根管治療後の歯の機能のことまでの引き出しは比較的多く持っていると思います。
ただ、インターネットで調べてみても、顕微鏡を使用している歯科医院はどこも最先端で高い技術を持っているようなので、どこを選べばいいのか迷ってしまいますよね。

ひとつの提案として、自由診療で行っているところを探してみるのもいいのではないでしょうか。
自由診療で根管治療をするということは、少なくとも知識と技術のアップデートはしている歯科医師だとは思います。

先日、患者さんから保険で顕微鏡治療をやっている歯医者とどう違うのですか? という質問を受けました。

「保険 顕微鏡治療」というキワードで検索してみると、たくさんの歯医者が保険顕微鏡治療を行っています。

その中のある歯科医院のホームページは
「他院では顕微鏡根管治療は自由診療になりますが、当院では患者さんの負担を減らすために保険でこなっています。1枚10円くらいのラバーダムを多くの歯科医院では高額請求しています」
というところがありました。
過当競争なので、まあ、そう言いたいこともわからないでもないですが、もし真剣に言っているのなら、不勉強甚だしいです。

ラバーダムをすれば治るわけではないです。
ラバーダムは根管治療を行う前提条件です。

根管治療を成功させるには、歯科医師の知識と技術がほぼ全てです。

おもて歯科医院では、自由診療での根管治療は、ラバーダムを売っているのではなく、私の今まで積み上げてきた知識と技術を売っているのです。
それがあなたの歯を救う対価なのです。
こんなことを言えるのは、それなりの実績があるからです。

日本で毎年1500万本の歯が根管治療されており、半分以上がうまくいっていない最大の原因は治療費の激安さにあると思います。

日本の保険歯科治療費は安すぎるので、気軽に再治療をします。
再治療の根管治療は難易度がグンッと上がります。
前医が盲目的に歯の中を器具でグリグリするので、内部の形態が壊れてしまい難症例になってしまうことが多いのです。

日本の根管治療費は極端に安いので、根管治療の勉強をしたり技術の研鑽をする歯医者は少ないのではないでしょうか。
一般の会社なら不採算部門に予算を回すことは決してないですよね。
医療だから甘受しろという国民の考えが強いのであれば、日本人の歯の健康の未来はますます暗いものになります。

もし私と同じ知識と技術を持った歯医者が保険治療しているのであれば、そちらで受診することを強くお勧めします。

おもて歯科医院
歯学博士
表 茂稔