奥歯の隣接面の虫歯は見逃しが多く発見が遅れがちです。
大きな虫歯でも症状がないことも多いです。
症状がないことが健康だとは限りません。

患者さんは30代女性で主訴は他の歯でしたが、全体をチェックした時に左上7の近心隣接面に虫歯を見つけました。

虫歯の発見には視診・触診・レントゲン・透照診・レーザー蛍光法・電気伝導度などの検査法がありますが、この内の1つの検査法で100%正しく診断することはできません。

検査には感度・特異度があります。
これらの情報を基に人間である術者、歯科医師が治療の必要あり・なしを判断します。

その判断の材料になるものに、患者さんの口腔衛生状態、健康への意識なども入ります。

今回は視診で明らかな齲窩を認め、不潔域の隣接面であることから治療の介入を行いました。

できる限りラバーダム下で修復処置をおこないます。
治療はすべてのステップにおいてミラーテクニックによる顕微鏡下で行いました。

う蝕はエナメル質を突破し、エナメル・象牙境を超え象牙質内まで達していました。

隣接面のう蝕は大人になると増加する傾向があるようです。

近年ではなるべく歯を削らない傾向にあるので、隣接面の初期う蝕も経過観察を行うこともあるようです。
このような報告は北欧などのカリオロジーでよく目にするものですが、日本にこれをそのまま当てはめることに大きな不安があります。

医療制度の違いも大きな理由ですし歯の健康に対する関心度も大きく異なります。

隣接面の虫歯の進行速度はエナメル質内には54ヶ月、エナメル・象牙境に達するのは31ヶ月、象牙質内に進行するのは9ヶ月と比較的ゆっくりと進行するようです。

象牙質までに虫歯が達するには7年以上の月日が必要になります。
患者さんはインプラントを含め虫歯の治療もしていました。

やはり隣接面のう蝕は見逃されやすいのですね。

無症状でかなり大きい虫歯になり、症状が出たときには歯髄も無事ではいられません。

象牙質内のう蝕を除去します。

う蝕を除去していくと必ずボックス型の穴が広がっていきます。
口の中は死角で見えないところが多いのに加えて、更に死角が増えます。

顕微鏡は見えないものを見えるように、不可能を可能にする道具です。
しかし、ミラーテクニックを使わない限りどうしても死角は見えません。

誰がどんな理屈を並べても、今の所ミラーテクニック以外で見ながら治療することは不可能です。

う蝕を除去していくとエナメル・象牙境 に達するクラックが認められました。

う蝕除去でできたボックス型の内面をう蝕の取り残しがないか確認します。

虫歯を除去した後は段差や隙間のないレジンを充填しますが、今回の虫歯は歯肉近くまで虫歯が進行していたのでひと手間加える必要があります。

歯肉近くはサーフェステンションコントロールで立ち上がりをつくります。
ボンディング(接着剤)もレジンなので、ここではみ出してしまうと全てが台無しになります。

おもて歯科医院の歯科治療は精密治療を掲げていますので、ボンディングは2ステップのものを使用しています。

1ステップはオールインワンで便利なのかもしれませんが、必ずエアーを吹きかけて揮発成分を飛ばす必要があります。

その際周囲に広がったボンディングレジンの上にレジンを充填すれば、必ず不適合なレジンになります。
硬化した後の形態修正はほぼ不可能です。

レジン修復は一発勝負です。

過不足無く充填することが肝要です。

レジン修復は一つ一つのステップを確実に積み上げることで適合の良いレジンになります。

歯肉近くの立ち上がりができた後はラバーウェッジ法で隣接面の充填を行います。

不潔域である隣接歯肉側のレジンが不適合であると、歯垢の溜まり場になり虫歯の再発の温床になってしまいます。

この部位を適合良くレジン充填するにはマトリックスの設置を正確にしなければいけません。

拡大化で且つミラーテクニックで正確なレジン修復が可能です。

適切な隣接面と接触点を回復したのち、辺縁隆線を賦形します。

辺縁隆線の丸みや隣在歯との高さ、上部鼓形空隙を賦形しなるべく咬合調整をしないように充填します。

う蝕治療で優先すべきことは虫歯の再発がなるべく起きないように、適合を重視することです。

お手入れをしても歯垢が取れないような修復物は新たに虫歯の種を蒔くようなものです。

顕微鏡下のミラーテクニックで行うレジン修復では適合を重視し、歯垢の付着を助長するような隙間や段差がありません。

多くの患者さんの修復物はフロスをすると引っかかります。
これではお手入れができません。

適切な辺縁隆線と適合の良いレジン修復であればフロスもスムーズに通ります。

最近ではだいぶ顕微鏡を所有する歯医者が増えました。
それはそれで良いことなのかもしれません。

顕微鏡の使い方に悪い・良いはないと思いますが、見える治療をするならばミラーテクニックは必須です。

小さなものを拡大することは誰でもできます。
死角で見えないところをどうするのかが大事な事です。

顕微鏡を口の中に入れる事ができないので、必ず死角ができます。
その死角を軽視するかどうかはその歯医者次第です。

私は死角で見えないその部分に大事な何かが隠れていると考えているので、顕微鏡治療にはミラーテクニックは必須と考えています。

顕微鏡治療をお考えの方は是非参考にしてください。

顕微鏡を使っている歯科医師の中にも見える治療をしている歯科医師と、手探りの治療をしている歯医者がいることを。

レジン修復
治療費:69,000円
治療期間:1日 約1時間